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天国への階段
(アルファロメオの巻 その3)
お金は貯まった。
しかし、お金で天国への階段は買えるのか?
アルファロメオは至福の世界へと連れて行ってくれるのか?
それは買ってみなければわかりませんが、少なくともアルファロメオを買う数多有る理由の一つであり、しかし誰もが重きを置くであろうものが、愛車に美しいデザインのアルファロメオのエンブレムが輝くことです。
アルファロメオのエンブレムは2つのモチーフから成り立っています。
左が赤い十文字。
右が蛇。
よく見ると蛇の舌は2つではなく、3つに割れていますね。ん?これって人?
左は十字軍に由来するミラノ市の市章、右はミラノの名家ビスコンティ家の紋章であるビスコンティの大蛇(ビショーネと呼ばれる)をデザインしています。
へびの好き嫌いは別として、
デザイン的には紋章チックで間違いなくかっこいい。
なぜなら元が紋章だから。
この基本デザインを踏襲しながら、車の近代化にあわせてエンブレムも少しずつ変わってきましたが、いつの時代のものもカッコよいです。
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ちなみにビスコンティ家の紋章はご覧のようにちょっとグロいです。
適度なデザイン化は必要ですね。
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じつはこのビショーネ、アルファロメオのオフィシャルストアでぬいぐるみが売られていたことがあるのです。
今はオフィシャルストアは売り切れのようですが、インターネットではまだ購入可能です。
ドライブのお供におひとついかがでしょうか?
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さてアルファロメオのエンブレム、相対的にどのくらいのかっこよさでしょうか?
おなじみの車メーカーのエンブレムと比べてみましょう。
フェラーリ、ポルシェ・ランボルギーニ
(おなじみだからといって買えるとはいってません)
うーん動物! はやいぞ!つよいぞ!はやっぱり動物かな。
ポルシェは”STUTTGART”なんて書いてあるので、
シュトゥットガルト市の紋章かも。
ヨーロッパは手近にカッコいいお手本があるのでいいですね。
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ドイツ乗用車勢
基本”円”ですね。シンプルで嫌味のないのが好まれるのかな
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イギリス勢
アルファベットが好きですね。
ジャガーだけ動物なのはスーパーカーメーカーというより社名そのまんま。
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フランス車3兄弟
幾何学的図形が好きなのは理系です。
プジョーはライオンですが、年代によってデザインがかなり違う。
今回は私が以前乗っていた205に付けられていた頃のもの
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日本車勢
チラっ。やっぱりやめとこうかな
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かっこよいとか、よくないとかいう問題ではない。
エンブレムというより、マークといったほうが分相応
唯一デザイン性があるのは富士重工のスバルか?
それでもかなり奥ゆかしい。
日本は自動車生産の面では今や世界を代表する工業国ですが、
歴史的にはヨーロッパが大先輩。
自動車文化でヨーロッパが大人とすると日本は中学2年生くらいかな?
であんまり気取ったエンブレムにすると厨二病といわれてしまいかねない。
そうでなくとも、やはり日本は奥ゆかしさが美徳の国ですので、
主張しすぎるのは『どうもね。』ということなんでしょうね。
文化にかかわる事ですので、これは自動車だけではありません。
数学や工学の世界でも、外国では定理や法則の発見者が、自分の名前をつけるのが普通ですよね。
ベルヌーイの定理とかフェルマーの最終定理とかいうと知らない人でも、いかにもそれらしい名前に感じるでしょう。
でも学校の教科書では山田の定理とか見たことないですし、
あったとしても、学問としての威厳が若干足りないように感じてしまいます。
やっぱり日本人の場合は自分の名前を、発見した理論につけるのは『恥ずかしい』『大人げない』という気持ちもあるのでしょうか?
数学に関する日本人の発見や証明をネットで調べると
小平邦彦:調和積分論
高木貞治:類対論
岡潔:多変数複素関数論
(敬称略)
などと自分の名前よりもどんなことを証明したのかを実直に示そうとして、余計にわからなくなっている感じの命名。
とはいえ日本人でも自分の名前を付ける人もいるようで、
岩澤健吉:岩澤理論
佐藤幹夫:佐藤超関数
志村五郎・谷山豊:志村谷山の予想(フェルマー予想証明に貢献)
などなど結構ありました。(やはり敬称略)
佐藤超関数などは、なかなかトンがっているなと認めつつも、
なじみのありすぎる日本人の名前が非日常的な理論の先頭につけられると
逆に、何かのネタっぽく見えてしまう。
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ちなみに個人的な経験なのですが、”フェルマー予想の証明”で思い出すのものといえば、ジェノバ。
母を訪ねて三千里の少年マルコが住んでいたあのイタリアのジェノバです。
ズビズバといえばパパパヤというように、
ジェノバといえばフェルマーな気分です。
あれは2006年にお仕事で同僚2人とイタリアに出張に行ったときのことです。
出張期間中の休日(イタリアでは聖人の日という祝日)に、
みんなでジェノバに行ってみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1670337297836-B56PQndfec.jpg?width=800)
コロンブスの家など見てから、徒歩でのジェノバ駅までの帰途、
何やら古城チックなところで、〇〇展的なのぼりがはためいています。
これはその古城所蔵の宝物の特別展示でもしてるに違いない。
”我々は今超ポジティブな気持ちなのだ!” 何も確かめず、早速入場。
これが意外にも入場料無料であるうえに、1グループ(すなわち我々3人)に英語のガイドさんが、これまたなんと無料でついてくれるのです。
これは何かおかしい。新手の宗教勧誘か?とビビっていると、
最初の展示物に到着。
どうやら物品ではなく平らな額のよう、絵画かな?いやそれにしては細かい字がたくさん書いてるな。
なになに、『0の発見』、それから『∞の概念』といったパネル群!
そう、これは数学展だったのです。
なんで古城で数学展やってるの?
そしてわざわざジェノバまで来て数学展を訪ずれてしまったアラフォーおじさん達の間抜けさよ。
しかもガイドは大学生で数学科らしく、すべてのパネルをいちいち丁寧に説明してくれます。
適当に切り上げて帰るわけにもいかず、調子を合わせていました。
そんなとき出てきたのがフェルマーの予想の証明に関するパネル
3以上の自然数nについて、
xのn乗 + yのn乗 = zのn乗となる自然数の組(x,y,z)は存在しない。
というやつで、
『“自然数”が“存在しない”ことを証明するのはとんでもなく大変でした。』という話を以前NHKの『天才の栄光と挫折 数学者列伝』
という番組で見たことがありました。
イタリア人大学生から一方的に英語で数学の話をされるのも悔しいので、その番組で見た”2人の日本人の数学的な予想が証明に非常に貢献した”という
かすかな記憶を頼りに、反撃を試みることに。
『これって証明には日本人がかかわったよね?』と言ってみると、
『いいえイギリス人です。』
『…』撃沈。
志村谷山予想というのを覚えていれば、『えっ数学科なのに知らないの?』と一矢報いることが出来たものを。口惜しや
そのあとやっとのことで数学展から解放してもらえた時にはすっかり日も暮れ夕食時。
ジェノバ駅近くのリストランテでワインと本場ジェノベーゼのパスタで残念会(?)です。
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ホテルのあるミラノまでの電車の時間が迫ってきたので、お勘定しようと、サッと合図を店員に送る。
そんなときイタリア語どころか英語も苦手な同僚(港の写真の人物)が
『イタリア語でお勘定ってなんていうんでしたっけ?』
とまた余計なチャレンジングスピリットを発揮。
『…エル コント ペルファボーレだったかな?』
『あーエルコント、エルコント…』
と言っている間にリストランテの厳ついおやじさんがやってきてテーブルの横に立つ。
ほれほれ、さっきの言ってみれ‼
『えっ、なんでしたっけ?えー』 ワタワタ、
『エレファントカシマシ!』
えっ、おまえ何言っとん?
これってイタリア語でファッ〇・ユー的な言葉だったらどうしよう。
とハラハラしていると
(おー、なかなかおもしろいじゃねえか。)とおやじさんは豪快に笑い
『店のおごりだ、飲んでいけ』とジェノバの地酒っぽいのをごちそうになりました。(実話です)
おかげで電車は一本遅れ、ミラノに着いた時には既に真夜中近くでしたが、さすがにイタリア、楽しい経験がたくさんできました。
すでに前置きが延々続いており、
川口ヒロシ探検隊の2時間番組で1時間を超えてなお、胡散臭い目撃証言ばかりで一向にヒロシさんが探検に出発しないようなものですが、
話が超次元の彼方まで行きかけていたところ、
運良くイタリアまで戻ってこれましたので、ここでイタリアにまつわる話を一つ。
何にしようかな?
そうそう、アルファロメオのお話でも致しましょう。
おのおの方!いざアルファロメオに討ち入りでござる。
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今一度ターゲットである吉良上野介、じゃなかったアルファ155V6LTDのおさらいを。
日本限定150台。色はアルファレッドのみ。白いSpeed LineアロイホイールにZenderのエアロ。そして派手なステッカー。
敵(かたき)ではなく、あこがれの的ですが、以前の京都中古車屋さんでの重ステ事件が走馬灯のように記憶によみがえる(注:決して中古車屋から不適切な扱いを受けたわけではありません。一方的な重ステへの屈辱感です)。
重ステのプジョー205に2年乗り、ありとあらゆる故障にも耐性は出来たものの、正規ディーラーに新車を買いに行くのは初めて。
しかも当時28歳の若造です。
『ほーれ、ほれ、田舎侍、へっぽこ侍が!』と言われないだろうか?
ハラハラ
まずは、愛車である故障浪士プジョー205に乗ってアルファロメオ芦屋ショールームへ行ってみる。
またまた電話もせずにふらっとです。(やっぱり電話は苦手でして、芦屋だったらあるかなぁと、あてずっぽうの行動です)
たのもぉーお!!
『155V6リミテッドならここにはないけど、あと1台くらいは神戸西のショールームにあるようです。』と店員さん
”まだ温かい。遠くにはいっておるまい”(だから神戸西だって)。
おのおの方追いますぞ!
颯爽と白い討ち入り姿のプジョー205に乗って、芦屋ショールームの駐車場から発進。
とまさに駐車場と歩道の境界を越えたときに、ブチっとクラッチペダルを踏む足に懐かしい感触が。
そうですクラッチケーブルの伸びるあの感触です。
まだ車道に出てなくてよかった。
(それにしても物って自分が役に立ててもらえなくなるとわかったら、
壊れる事って本当によくありますよね。)
駐車場までバックで戻り、さっそくJAFを呼ぶ。
来てくれました。
”もう走れないと思うので、できればプジョーを扱う自動車屋までけん引してほしい”とお願いしました。
するとどういうわけか、『クラッチケーブルが“のび太”(じゃなかった)伸びたのですね、ケーブルの長さを調整してみましょう。そうしたら走れますよ。』と謎に前向きな対応。
(日本全国の前向きさん、そのポジティブさ、大丈夫?)
”いやいや、調整しても、ケーブルが傷んでいるので危ないんじゃないですか?”というオーナーの経験談は顧みられることなく、JAFの人は結構奮闘してくれ、『ハイ調整おわりました。それではー』、とさわやかに去って行かれました。
一人取り残された私。
困ったぞ、なるべくクラッチを使わないように変速を最小限にして帰ることにしよう。
しかし来た道以上に芦屋からの帰途は遠く感じる。
ヤマトがイスカンダルまで延々と旅して224日目にやっと到着したのに、地球に帰るのは100日程度だったいうのとは真逆です。
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なんとか高速道路に乗れて、もう信号停止もなく、うまくいけば行きつけの中古車屋さん近くまで行けるぜ、と思っていたのもつかの間。
無情の渋滞が!
そして減速のためクラッチを踏むや、とたんにクラッチケーブル切れる。
クラッチなし走行のレシピでしばらく走行を続けるも、とうとうバッテリーがなくなり、
プジョー205完全に沈黙しました。
こんなことなら無理せず路肩に寄せとくんだった。後悔しても後の祭り
すぐに車から脱出して緊急電話にて連絡。
そして車のところに帰ってみると
今度は無情の渋滞解消。
スイスイ走った後続の車が、立ち往生していた私の車に追突したらしく、後ろがへこんでいたのです。
みなさん高速道路では故障した車の中にはとどまらないように注意してくださいね。
存在の耐えられない軽さ
日を改めてアルファロメオ神戸西へ。
(もう自分の車はないので、友人のユーノスロードスターで送ってもらう)
有りました。ショールームにアルファ155V6LTD。
手元に軍資金もあることだし、やはりここは余裕たっぷりに構えねば。
店員さんから、
『どのような車をお探しでしょうか?』
とか
『この車などいかがですか?』
と話しかけられてから、心中とは裏腹に、”そうですねぇ”などと、
もったいぶった態度で応じたかったのですが、
狙いの155に先客のおじさんがぴったりくっついて離れない。
店員さんも熱心におじさんに話しかけている。
”これ一台しか残っていないかもしれない”と思うと、
いてもたってもいられず、
おじさんが少し離れた瞬間に、自分からやおら店員さん近づき言った言葉は
『これください。』
軽い、軽すぎる。
”やおら”言ったとて、”八百屋”で大根を買うのじゃないんだから。いや赤いから赤カブか?
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結局その場で無事、購入契約する運びとなったものの、
『この車ショールームに搬入するとき、後部に傷がついちゃったんですが、これはきれいに塗装して納車することでよろしいですか?』と正直トーク。
イヤです、けど…
『あっ、じゃあ別の車を他のショールームから取り寄せますね。』
あるんかい!
納車の日!
といってもまた別の友人にショールームへ送ってもらい(シルビアだったか?)、店頭で受け取ったのですが。
自宅までトランスポーターで運んで来てもらえるのは、フェラーリやランボルギーニだけなのか?
でも大学生のとき始めてヤマハのバイクFZR250を買ったときにはバイク屋さん、軽トラで下宿まで持ってきてくれたんだけどなぁ。
すべての手続きを終えてから車に乗り込み、轟然とエンジンを吹かして颯爽と発進。
”六甲の白い雷様”で鳴らした私は、新車だからといって恐る恐る運転するなんてことはしないぜ!とばかり最初からエンジンに喝を入れた!
なんてことはありません。
初めての新車に舞い上がってしまい、クラッチを踏んでギアを一速に入れるつもりが、間違えてニュートラルのままアクセルを思いっきり踏みつけてしまっただけです。
この日買ったものは天国への階段か?はたまた?
それは次回、最終回で!
今回はアルファロメオ購入の佳境にして、『アルファロメオの画像なし』に挑戦してみました。
これを間接話法と言う。訳はないですね。
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