二次元音楽視聴歴を振り返る ―これまでとこれからを踏まえた音楽との健全なお付き合いとは

はじめに


LAWSON presents 夏川椎菜 2nd Live Tour 2022 MAKEOVERが終わって少し寂しい気持ちになっている今日この頃。
……という話には特に関係ないが(ないの?)、最近色々と思うことがあったので二次元音楽を掘って来た経験を振り返ってみることにした。

そして唐突に前置きが始まるわけだが、私が二次元音楽を本格的に掘り始めたのが2017年なので今年でちょうど5年になる。
当然ながらあの頃と比べると年齢を重ねて生活環境も変わり、その中で音楽の掘り方や音楽との付き合い方も変わって来た。
そういうわけで自身の趣味生活とその変化を整理しておくという意味でも、将来の自分が振り返って確認するためという意味でも文章に残しておきたいと思った。
それにもしかしたら昔の自分のような境遇にいる人に何か参考になるかもしれないとも思ったが、そんな偉そうな口を叩ける身分ではないので単純に将来の自分が読み返す用として書いていく。
もしそれでも何か有用だと思ってくれる人がいれば嬉しいし、読み物として面白がってくれる人がいれば歓迎したい。おにーちゃんの人生つまんなぁい♡ざぁこ♡みたいな感じで。

とはいえ将来の自分が読み返した時につまんね~~と思ってしまうのは不本意なので、ある程度人に読まれることを前提とした体裁で書いていく。
まず前半では2017年から現在(2022年)に至るまでの音楽の掘り方を時系列で振り返っていき、その中でリスナーとしてのターニングポイントになった楽曲やライブを取り上げながら当時の思考を掘り下げる。
続いて後半では2022年現在の掘り方を体系的に整理した上で、いち音楽ファンとしてこの5年で得てきた自分なりの大事にしたい考え方をしたためる。

二次元音楽との付き合いを振り返る

2016年以前
広義の二次元音楽ジャンルに足を踏み入れてからある程度の年数は経っていたものの、聴く音楽の幅はかなり狭く、基本的にはエロゲソングやそれに関連する歌手が大半。
その手の音源はメジャー流通していないものも多いので回収は大抵中古でたまにレンタル。某河屋を使い倒しては家にCDが増えていくというオタクみたいなことをしていた。いやオタクか。

2017年以降の二次元音楽digの対象として大きいのは声優楽曲なのだが、2016年まではメジャーの声優音楽を聴くことがほとんどなかった。
というのも当時の未熟な私は(今も未熟ですよね?という指摘は謹んで無視します)、声優楽曲というものに多少なりとも偏見を抱いていて忌避しがちだった。今振り返ると大変恥ずかしい。羞恥プレイである。
例外的に聴いていたCDといえば、南條愛乃さんの初期のリリースや茅原実里さんのベストアルバム、TrySailのHigh Free Spiritsくらい。

2017年
この年から本格的に二次元音源を掘り始めた。きっかけはフォロワーからのリコメンド。
ツイッター自体は数年前からやっていたのだが、当時の数少ないフォロワーの中にも二次元楽曲リスナーが幾らかいて、時たま音楽の話を呟く中で反応してもらえることがあった。その中の一人から内田真礼のMomentを勧められたのが最も大きいきっかけだった。ちょうどこの年の1月に発売されたミニアルバム「Drive-in Theater」の収録曲。

先述の通り声優楽曲に対する偏見を抱いていたのだが、この曲があまりにも良すぎて好きすぎたことで偏見が薄れ、近所のTSUTAYAに置いてある声優アルバムを借りるようになる。あとアニソン界隈の専業歌手やバンドのアルバムも併せて。(俗にアニソン歌手と言われる人達だが、私はこの言い方があまり好きではないので別の言い方にしておく。)
そんな流れでdig生活が始まり、この年はとりあえず気になる声優や歌手の新譜が出たら聴いてみようという姿勢で動いていた。むしろ既に知っている歌手の旧譜を集める方に重点を置いていたかも。
キャラソンはそんなに聴いてなかったかな。男性Voの曲もほとんど手を出さなかった。

この年の2月にTSUTAYA DISCASも使用開始。17年内は上記の旧譜回収がメインで、下半期になると新譜回収にも使うようになる。
履歴を見返すとまだ使い方が下手だったようで配達ペースは平均して3日に1回。新譜争奪戦にも度々負けていた模様。
ちなみに当時は関西在住だったので、今は亡きTSUTAYA梅田堂山店まで時々遠征して大型店舗の音源をここぞとばかりに回収していた。そういえばカヨコさんのCD限定レンタルとかあったな。

ターニングポイント①
Love∞Destiny / 佐久間まゆ (牧野由依), 北条加蓮 (渕上舞), 小日向美穂 (津田美波), 多田李衣菜 (青木瑠璃子), 緒方智絵里 (大空直美)
作詞:磯谷佳江 作曲・編曲:BNSI (kyo)

夢の果てまで / 早見沙織
作詞・作曲:竹内まりや 編曲:増田武史

2017年の最大のターニングポイントは先述したMoment / 内田真礼だったのだが、それと同じくらい衝撃を受けた二曲。
デレマスのLove∞DestinyはMomentと同じ人に勧めてもらった曲で、クールなR&Bテイストの中で鳴らされるウワモノの強烈なシンセがたまらなく好みですぐにハマった。
アイドルマスターという有名な作品があることは前々から知っていたもののやはり声優楽曲や二次元アイドル作品に対する偏見はあって、そういう意味で食わず嫌いしていただけにこの曲の衝撃は凄まじかった。
「こんな曲もあるの!?キャラソンの世界って案外面白いんだな……!」という体験をさせてくれた思い入れの深い一曲である。

そしてもう一曲、劇場版はいからさんが通るの主題歌・夢の果てまでも大きな衝撃を受けた楽曲だった。
その時は色々新曲を聴いてみようとネットを漁っていて、何気なく試聴動画を開いたのが(良い意味で)運の尽きだった。もう一瞬でやられた。
イントロの鮮烈なストリングスフレーズ、時代の匂いを漂わせる哀愁に満ちたエレキギター、どことなくノスタルジーも感じる鍵盤の音色と刻み方、そして早見さんの情感たっぷりな歌声。好きになるしかなかった。
後々振り返ると子供時代に親の影響で80年代の歌謡曲に触れていて、その体験が土台としてあったからこそ「好き」に繋がったのだと思う。親の運転する車で聴いていた曲が後々趣味になる、いわゆる"親の車クラ"というやつ。

今でもたまに何気なく聴いた曲のイントロで心を掴まれることがあって、結構な量のドーパミンが分泌されるのだが、その一番最初の体験がこの曲だったと振り返って思う。
そりゃあ音楽初心者の若者にそんな体験させてしまったら音源掘るしかなかろうて。音源digにおける醍醐味の一端を知った曲としてこれは外せない。

2018年
前年から音源を掘っていく中で感じていた、自分好みの曲に出会えた時の「うお!?何だこれ最高!!」を引き当てるべく回収数は増えていく。
更に前年下半期からアニメ視聴に当てる時間を増やしており、その中で主題歌やキャラソンを掘り始める流れが出てくる。大体百合アニメだけどな!
また、作家推しという概念が徐々にはっきりとしてきたのもこの頃と思われる。齋藤真也菊田大介最高~~って言ってた。たぶん。

18年のトピックとしては、某アニソンブログさんの試聴動画紹介ページを見て聴いて、なんとなく気に入ったものを借りるようになったことが挙げられる。つまりキャラソンを聴くことが増えた。リステもその辺から入った。
その流れの中で二次元音楽の目ぼしいところは無条件で借り始めるようになり、とにかく数を聴くことで好きな曲を掘り当てようとしていた。(それが良いか悪いかは後半で論じる)
地道に付けている音源回収履歴によると2018年発売音源の所持数はアルバム200枚シングル300枚程度。後々回収したものもあるので実際に年内に拾ったのは150/200くらい。

この辺りがディスカスを一番使い倒していた時期で、2日に1回ペースで届くように必死に調整していた。
狙い通りの発送を成功させるコツも掴めてきて、近所の店舗では入荷しなさそうな音源もバシバシ回収していた模様。
ところで先述のTSUTAYA梅田堂山店がこの年の5月に閉店してしまい、以降大型店舗で掘る時は天王寺駅のあべの橋店を使うように。こちらにも大変お世話になった。

☆ターニングポイント2
瞬間最大me / 相坂優歌
作詞・作曲:大森靖子 編曲:大久保薫

18年に発売された相坂くんのアルバム「屋上の真ん中 で君の心は青く香るまま」は本当に名盤。50周は聴いた。
単純に好みの曲が揃っていたというのもあるが、そんな盤の中でも特に印象に残ったのがリード曲の瞬間最大me。というのもこの曲で初めて「歌詞に共感する」という気持ちが分かったから。
基本的に私は音楽をフィクションと捉えている人間で、テレビの中で女子高生とかが言う「この曲めっちゃ共感できる~」がさっぱり分からなかった。歌詞に共感?なにそれ美味しいんですか?
ところがこの曲は分かってしまった。内容まではいちいち書かないがめちゃくちゃ同意した。
何が言いたいかというと「音楽にはこういう聴き方もあるんだ」というのを実際に体験し、後年自身の考え方に大きな影響を与えたということである。肝心のその考え方の話は後半で。(続きはCMの後みたいな言い方やめろ)

2019年
引き続きディスカスと店舗の併用でレンタル中心の生活を送る。近所の店舗が二次元音楽の主だった新譜はしっかり揃えていたため困ることも特になかった。
掘り方も前年とほぼ同様。二次元界隈でもサブスクの流れがどんどん来ていたが当時はまだ手を出さず。ちなみにアニメを見る本数は減った。
(単純に曲が好きなので見てようが見てなかろうが関係ないと思い始めた。もちろん見た上で聴いた方が深く楽しめるのだろうけど)
2019年発売音源の所持数も18年と同じくアルバム200枚シングル300枚程度。男性Voの曲はまだまだ少なかった。

音源収集に一番熱を上げていた時期で、気が向いた時に90年代音源も少しだけ掘っていた。やはり頼るのは某河屋だったが渋蔦という音源庫も併用。
少しだけ聴くジャンルが広がったのもこの頃。ブームが来ていたシティポップ・AORのバンドを少し聴いてみたり、ライブ音源やインスト音源も好きになっていった。

☆ターニングポイント3
Silent Dystopia / トロワアンジュ (日岡なつみ, 阿部里果, 長妻樹里)
作詞:高瀬愛虹 作曲:佐藤厚仁 編曲:伊藤翼

Re:ステージ!のユニット・トロワアンジュの楽曲。リリースは2018年だが、後述の理由から2019年枠として載せる。
詞曲アレンジ歌の全てが自分好みという至高のぶっ刺さり曲であり、これをきっかけに「自分が好きな音楽の構成要素とは何なのか?」を考えるようになったことが大きい。
この点に関する概論は後半でするとして、異国語のコーラスに壮大なクワイア、緊迫感の漂うストリングス、エレキギターの重いバッキング、どっしり構えたリズム隊、物語の世界に没入させてくれる文学的な詞、天使系美少女キャラクターの歌声とエモーショナルな主旋律。何もかもが刺さった。
二次元アイドルそのものが苦手なのは正直今も変わらないのだが、トロワに関してはまたライブに行きたいと思っている。この曲を初めて生で聴いて昇天したのは2019年11月のリステ3rd、未だにあの時のことは忘れられない……というわけで2019年枠ね(唐突なオチ)。

2020年
音源の掘り方はまだ変わらず。この年から男性Vo/男性声優楽曲も少しずつ聴くようになった。それまでは「男性Voの曲は刺さらない」と思っていたのだが、正しくは「女性Voよりも刺さる確率が低いけど刺さる曲もちゃんとある」ということに気付いたから。
そのことによって片っ端から音源借りるぞ~~状態になっていくのだが、情勢の諸々もあったのか視聴枚数自体は19年より減っている。

そしてここで問題発生。薄々気付いてはいたのだが、良い曲を掘るために音源を回収していたはずが、いつの間にか音源を回収することが目的になってしまっていた(手段と目的の逆転)。
しかしながら回収手法自体は特に変わらず、元来の性分なのか「せめて年内はちゃんと音源集めなきゃな……」みたいなちょっとした強迫観念すらあった。不健康の極みなので真似してはいけない。
というわけで20年は自分にとってあまり良い思い出はなく、加えてリアルの健康面も脅かされていたのでなおさら。もちろん良い曲はたくさんあった。

☆ターニングポイント4
夏川椎菜 1st Live Tour 2019 プロットポイント / 夏川椎菜

暗い話ばかりは良くないので気を取り直してライブの話でも。
2019年のライブだが、後述の理由から2020年枠として載せる。あれ……さっきもこんな文章を書いたような……
ナンスは現在の推しの一人であり、他のどのアーティストよりも優先度を高く取っている。彼女の曲を初めて聴いたのは19年4月に発売されたファーストアルバム「ログライン」で、直前に音楽ナタリーのインタビューを読んで興味を持ったのがきっかけだった。(余談だが後に曲提供する見切れベーシストさんもナタリーのインタビューから興味を持ったらしい。19年夏にそのことを書いたコラムを読んで偶然の一致になんとも驚いたものだった。)

そのアルバムがあまりにも好みで良い曲しかなかったので同年秋のツアーに参加したのだが(映像化された中野追加公演の一般販売戦争に勝利したのは奇跡としか言いようがない)、とにかく凄かった。
プロットポイントツアーにおけるコンセプトは「自身のソロデビューからアルバム発売までの半生を、楽曲と無声劇の併用で辿っていく」というもので、先述の通り音楽をフィクションとして享受し、物語として楽しんでいる私の趣味に直撃だった。そうしてヒヨコ群となった。
「そうそう!!こんなライブが見たかったんだよ!!」を叶えてくれたこのツアーは思い出深く、瞬間最大meでも感じていた「音楽にはこういう聴き方もあるんだ」を更に発展させて「色々な聴き方がある中で自分にとって好きな聴き方にはこういうものもあるんだ」を確かめることが出来た。そして翌年発売されたライブBDも迷わず購入し、オーディオコメンタリーの演出解説を食い入るように聴いた……というわけで2020年枠ね(予期されたオチ)。

2021年
年初から遂にサブスクを使い始める。フォロワーの音楽オタクでも使用率の高かったSpotifyを選択。なお今もSpotifyしか使っていない。
これが本当に革命で、今までは音源を回収しないとフルサイズが聴けない=その曲の真価が計れない節があったのだが、「サブスクで一回聴いて気に入ったら音源回収」という流れが出来て生活がとても楽になった。
正味な話、CDを借りるのが楽しいとはいえ何事にも限度がある。お金は掛かる、取り込む時間や店舗まで行く時間も掛かる、店舗の在庫をチェックしたのに貸出中で借りられなかった時のストレス(これは個人差がある)も溜まる。これらが重なることで不健全な生活に繋がりかねないし実際繋がっていた。そういった現実的な面からもサブスクは本当に革命だった。それまで使ってなかった自分が馬鹿にしか思えない……というか馬鹿だろ現実見ろ。
ちなみにディスカスは前年の暮れで休会しており、それに代わってサブスクが趣味生活の一部として機能し始めたと言える。

☆ターニングポイント5
田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2021 *Airy-Fairy Twintail* / 田村ゆかり

私が初めて行った王国現場にして、王国民になってしまった元凶たるツアー。酷い言い方になるのは好きの裏返しですよ?(突然のですます調)
曲の良さや演奏・演出がハイクオリティであったことは勿論として、ここで取り上げたいのはMCのこと。
は?お前今音楽の話してんじゃねえの?と思うかもしれないが少し待って欲しい。ちゃんと理由がある。

近年、アーティストに不祥事が起きた時に取沙汰される「作品とアーティストの人間性を切り離して考えられるか?問題」と近いのだが、普通に曲を聴いていても「曲は好きだけどアーティストの姿勢とか発言がどうしても苦手だ」と思うことが多々ある。特に私なんかは逆張り社会不適合クソオタクなので、SNS上でエモい文章を載せてRTやいいねを稼いでいる歌手を見ると「それ本心?泣き落とししてファンを騙すために誇張表現してるんじゃね?」と思ってしまう。それが悪い癖であるかどうかは論点ではなく、結局アーティストが人間である以上は「この人の曲は好きなのに本人は苦手だな……」という現象が起こる。
その辺りを悩んでいた時にAFTに行ったので、MCの自由な雰囲気や観客に媚びない飄々とした態度がとても素敵で、そういった面でも最初から最後まで心地良くライブに参加出来た。これが凄く嬉しかった。
この経験があったからこそ、人間性の面で苦手だと思うアーティストの曲を無理に聴かなくても良いし、自分の心の健康が何より大事だと思えるようになった。ゆかりんのお陰なのでお礼を言っても言い切れない。
えーこほん。ゆかりん、世界一じゃないけど可愛いよ!(問題発言)

2022年
今年。サブスク使用頻度が更に上がり、そこから他の曲を掘るという行為を始めた。二次元音楽以外にも手を伸ばしている。
ただし無限のライブラリを掘り続けるとキリがないので、ある程度自分の中でルールを作っているが面倒なので省略。詳しい掘り方はこの後で。

という感じで5年間の趣味生活を振り返ってみた。我ながら苦笑してしまう内容だが、事実なので正直に書いておいた方が後々自分のためになりそう。
ここまで飛ばさずに読んできた奇特な方がいたらちょっと引かれる可能性すらある。引かないで(懇願)

最近の音楽の掘り方

その流れから続けて最近の掘り方を纏めてみた。色々な掘り方があって脳内でゴチャゴチャしていたので整理も兼ねて。

○新譜
・二次元系はアニソンブログ ア・ラ・カルトさんのリリース情報を見る
・元々好きな歌手や作家の新曲を追う

○新譜&旧譜(他力本願系)
・フォロワーのリコメンドを拾う
・フォローしている音楽関係者のツイートやリツイートから拾う(歌手、作詞家、作曲家、編曲家、演奏家、ミキシングエンジニア、マスタリングエンジニア、レコード会社スタッフなど)
・音楽情報サイトの記事を読む(音楽ナタリーなど)
・団体のキュレーションを拾う(アニソン派!など)
・二次元系のクラブイベントに参加する

○新譜&旧譜(単槍匹馬系)
・自分の好みの音楽ジャンルから探る
・Spotifyに表示されるリコメンドや公式プレイリストを使う
・CDショップやレンタルショップに赴いて店内探索

補足が必要な項はそんなにないと思うが少しだけ。
「自分好みの音楽ジャンルから探る」について、ジャンルでなくても自分の好みを言語化できる要素があればそれも使える。
例えば私の場合は雨のモチーフが好きなので曲名に「雨」や「Rain」が入る曲で探すことがある。MoonとかTwilightも好き。
あとサブスクだとジャケ買いならぬジャケ聴きが出来るのもいいところ。CDショップのポップもいいよね。
……ところで体系的に整理するって宣言したけどこれって体系的なの?というか体系的ってなんだっけ?まあいっか

リスナーとしての心構え

この5年間で一端のリスナーとして気付いたこと・大事にしたいと思った精神性を改めて文章にしてみる。人様から見たら「何を今更そんなことw そんなの誰でもとっくの昔から考えてるに決まってるじゃんww こいつマジで馬鹿だな~~ww」と思われるだろうが事実なので仕方ない。(でも怖いものは怖いので予防線は張っておく辺りがクソザコ感満点)

☆自分の好きな音楽が少しずつわかってきた
二次元音楽でそれなりの数を聴いてきたことで、自分の好きな音楽がどんなものなのか分かってきたのが5年間の収穫として大きい。
一般的にアニメジャンルと称される二次元音楽だが、この分類方法は音楽性そのものではなく楽曲が制作される業界に端を発した分類であり、要するに「ポップス、ロック、メタル、ヒップホップ、ジャズ、etc...」のような様々な音楽ジャンルが「アニメジャンル」という業界ジャンルの中で入り混じっている。その中で様々な楽曲に触れることで自分の好きな音楽も自然と見えてきたというわけだ。(無論この業界に存在しない音楽も山ほどあるのだがそういった揚げ足取りはご遠慮したい。)
その背景には2018年~2020年辺りの数を重視していた時期(=とりあえず二次元の新譜を広く掘っていた時期)の経験が挙げられる。物量を求めるのはいかんせん非効率的だし可処分時間を相当圧迫するので今やろうとは全く思わないが、結果的にはその経験があったからこそ見えてくるものもあったので無駄ではないと今になって思う。

好きの表現方法としては音楽ジャンルという大きな括り方も出来るし、詞曲アレンジ声といった様々な面から「こういうのが好き」を言語化して自分の中で整理することも出来る。その最たる例が先程挙げたトロワアンジュのSilent Dystopiaだった。とはいえ音楽知識は持ち合わせていないので上っ面しか掬えない言語化だが。
どんな歌詞が好きで、どんな声が苦手なのか。どんなメロディが刺さって、どんなアレンジが刺さらないのか。これから先も探り続けていきたいと思っている。

☆好きではない音楽の扱い方が上手くなった
そして先の話題に付随して言わなければいけない話がある。
好きになったものは好きでいいのだが、好きでないもの=好きでも嫌いでもないもの&嫌いなものを一様に切り捨てることは勿体ないと言いたい。
後でも論じるが人の趣味嗜好は変わっていくものだから、ある時点で興味がなくても後々刺さるかもしれないし、嫌いだと思っていたものが案外良いじゃんと思える日が来る可能性だってゼロではない。
それは嫌いな物でも無理をしろという話ではない。嫌いなら捨てればいいし、興味がないなら無理に好きになろうとする必要はまるでない。ただ、「興味がなくてor嫌いだから切り捨てたことを覚えておく」のは悪くない。
切り捨てたことを頭の片隅でもいいから覚えていれば、いつか自分の嗜好が変わった時に思い出して自然と好きになるかもしれない。例えば子供の頃に食べた煮魚が不味くて嫌いだったのに、大人になって食べたらめちゃくちゃ美味かった……みたいな。そういえば昨年渕上舞さんのライブに参加した時にMCで近しいことを仰っていた。先人の教えは大事。
ちなみに最近の実体験としては、一昨年聴いて興味のなかった盤が今年聴いてぶっ刺さったことが挙げられる。世界ってファンシーだなあ。

蛇足だが現時点で好きなものが一生好きなままとも限らない。10代の頃は脂っこい肉料理を食べまくってたのに、60代になったら脂が辛いので食べたくない……という未来がありうるように。
こうやって白黒を付けずにいることが肝要なのかもしれないと近年悟った。斉藤壮馬さんも「人生は心一つの置き所」という格言を引用していたし。

☆好きな音楽が増えた・食わず嫌いが減った
今しがたの好きな音楽が分かってきた話と近いのだが、好きな音楽が増えたことも大きい。
二次元作品や声優歌手作家といった「既に存在する"好き"」のフィルターを通すことで興味を持った曲から、新たに好きな音楽ジャンルが出来るという体験をしてきた。これは大事だと思う。
また、適当に音源を掘っていく中で「食わず嫌いしてたけど実際聴いてみたら良かった」という体験を重ねたことで、「この歌手とかもとりあえず一回聴いてみるか」の気持ちが生まれるようになった。これも大事だと思う。
ゆかりんライブの話題で挙げたようにアーティストの姿勢や人間性との相性もあるので、偏見だとか食っても嫌いみたいなものが無くなることはない。ただその経験も趣味生活における経験値に変換されるから全て無意味だとは考えなくなった。これも大事だと思…………大事なこと多いな!

☆世の中には色々なリスナーがいることを理解した
俗に言う多様性の尊重。理解することと同意することは全く違う。自分にとって「わからない」「苦手」「嫌い」というものを完全に拒絶するのではなく、それが好きだという人が存在することを踏まえて「たまたま自分には合わなかっただけ」と思う。
「あのアーティストが嫌い」を「あのアーティストの考え方は理解できない」ではなく「理解はするけど同意は出来ない。だからあなたの音楽は聴かないけど、世界にはあなたの音楽が好きな人がいるからその人たちのことを大事にしてね」にする。
それだけでも心に余裕が出来るし、いちいち世の中に対してトゲトゲしなくて済む。自分自身が心身共に健康的な趣味生活を送ることにフォーカスを当てましょう、ということ。
(つまり昔の私はトゲトゲしていたということである。当時の思考があまりにも貧困すぎて酒の肴になりそうだが酒は苦手なので飲めない)

それと相坂くんの瞬間最大meの話題で「音楽にはこういう聴き方もあるんだ」ということを書いた。音楽の聴き方はリスナーの数だけ存在するし、その中で自身と相容れない聴き方があることは仕方がない。
だからこそ色々な聴き方を体験することで「知らないから分からない」を減らせたら良いなと思うし、「知っても相容れない」「理解しても同意できない」のならば別に私と関係ないからいいや~~みんな色々な方法で音楽を受け取ってるんだな~~と軽い気持ちでいるのが健全なのだろうと思う。
詞に注目する人、曲自体を重視する人、タイアップ作品との文脈を捉える人、アーティストの歴史と共に聴く人、他にも聴き方は星の数ほどある。それぞれの楽しみ方で良いし、自分もその時々で好きな手法を使えばいい。

☆永久の最善手は存在しない
音楽との付き合い方・音楽の掘り方・アーティストの応援の仕方など、あらゆる物事における「現在の自分にとっての最善手」が永久に最善である保証はない。
自分自身の変化、生活環境の変化、趣味嗜好の変化などのあらゆる面から人間は揺らぎ続けて変わっていく存在であり、その時々に自分にとって最も良い手法を探ることを止めてはならない(たとえその結果として音楽を聴かなくなるとしても)。

当然だが人生は音楽だけでは出来ていない。
仕事や学校といった社会生活、家族を初めとする家庭生活、そして色々な趣味生活があり、それらとの兼ね合いの下で生きていかねばならないのなら、音楽を聴かなくなることも聴く頻度が落ちることも最善手になるかもしれない。自分の人生に無理を強いてまで音楽と付き合う必要はないしそれはきっと不健全だ。自分にとって最も健全な形で音楽と付き合っていくことが何よりも大切だと思っている。いのちだいじに。
「人間は考える葦である」というパスカルの名言通り、考えることこそ自身の人生ひいては趣味生活をよりよくしていくのだろう。おしまい。

最後に

というわけで考える葦……いや、考えるヒヨコが作った2022年上半期お気に入り楽曲プレイリストがあるので最後に貼っておく。
ヒヨコなので主に従って夏川椎菜楽曲を先頭に置き目立たせているなどという些細な拘りはさておき、上に記したdigの結果で出来た「現在の自分にとっての最高に強いプレイリスト」なので自信をもっておく。
これも立派なキュレーションのひとつ。一人でも興味を持つ人がいて一回でも曲を再生してくれたら作家やアーティストに還元される。本当に微々たる額だが何もしないよりは遥かに良いし、その小さいひとつひとつの行動が数年後の数字だったり、数字では表せないよりよい未来に繋がっていくことだってある。良い曲はデカい声で良いと言わないといけない、の気持ちは一端のリスナーとして心に持っていたいものだ。

長ったらしく書いてしまったが、もし最後まで読み切った方がいたら奇特すぎて奇特なのでヒヨコ群に加入することを推奨する。(無茶苦茶な繋ぎ方)
ヒヨコ群は結構奇特なヒヨコの集まりだぞ!なんせオルタナシンガーのファンだからな!最新アルバムのコンポジットも聴いてくれよな!
それじゃあばいなーんす!