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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(8)

(8)Gianni Donati (Probleemblad 01/1998)

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           Proof Game in 19.0 moves (10+16)

1.Sf3 Sc6 2.Se5 Sd4 3.Sc6 bxc6 4.b4 Ba6 5.b5 Qc8 6.b6 Bd3 7.b7 Bg6 8.b8=S f5 9.Sa6 Qxa6 10.d3 0-0-0 11.Bg5 Kb8 12.Bf6 exf6 13.e4 Bd6 14.e5 Rf8 15.e6 Bxh2 16.e7 Bg1 17.Rh6 xh6 18.e8=B h5 19.Bf7 Rxf7

 黒は盤面配置を作るだけで19手かかる。また、白のなくなった駒はBSRPPPの6枚で、そのうち3枚はそれぞれc/f/h筋で黒Pに取られている。更に、Bg6はa6-d3-g6というルートを辿っており、それからPf5-Pexf6となって漸くBf8が出動するということを考えると、最初に白駒が取られる地点はc6、そしてその駒はSg1であることがすぐに分かる。あとの2箇所(f6/h6)への捨て駒はそれぞれB/Rが一番自然だ。これで大まかなストーリーは判明した。
 さて、ここで考えてみよう。b/e筋の白Pはどこで取られたのだろうか?これらは直進途中で取られることがない。ということは、成ってから取られたということだ。しかし、何に成って、どこで取られたのだろうか?それを知るには、あれこれ考えるよりも実際に盤面に駒を並べて試行錯誤した方が早い。成駒を黒に取らせることなど簡単にできそうなものだが、黒の動きがほぼ限定されている為に実は結構難しいことが分かるだろう。
 このテーマ(Ceriani-Frolkin theme)の場合、多くは成駒をPに取らせることでその痕跡を残すのだが、本作は黒のQ/Rに取らせている分だけポイントが高い(例えて言うなら、ただのあぶり出しと立体曲詰くらいの違いか)。作者の高度な作図技術を堪能できる一局。

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