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温故知新(詰パラ363号-01)

 今日は詰パラ363号(昭和61年5月号)を読んでみることにしよう。フェアリーランドを覗いてみると、セルフが数作引用されている。早速それを紹介することにしよう。

(1) L.Makaronez (feenschach 1981, 1st Prize)

S#2 (10+7)

1.Be5 (2.Qc1+ 2.Rxc1#)
1...e1=S 2.Qf3+ Sxf3#
1...e1=B 2.Qd2+ Bxd2#
1...f1=S 2.Qd2+ Sxd2#
1...f1=B 2.Qxe2+ Bxe2#
1...exd1=S 2.Rxc3+ Sxc3#
1...exd1=B 2.Rh3+ Bf3#

 このように黒のバッテリーをこじ開けるのは、Dentist themeと呼ばれている。患者の歯を無理矢理引っこ抜くイメージなのだろうか?

(2) G.Bakcsi (feenschach 1981, 2nd Prize)

S#2 (9+7)

try:1.Qe8/Qf6/Qb4/Qf4? but 1...Bd3/Bd4/Bd4/Be4!
key:1.Qe7! (waiting)
1...Bc2 2.Qc5+ Bxc5#
1...Bf2 2.Qe4+ Bxe4#

 黒は初手で、2枚のBのうちどちらかを動かさざるを得ない。そのときに、必ずもう一方のBを強制的に移動できるようなQの位置はe7しかないのだ。
熱心家は是非、各トライにおける黒Bの移動先が限定されていることをご確認頂きたい。

(3) M.R.Vukcevic (feenschach 1981, 3rd Prize)

S#2 (8+15)

1.Qe5 (2.Qd4+ Bxd4#)
1...Bxe5 2.Sd6+ Bxd6#
1...Rxe5 2.Rxc5+ Qxc5#
1...b2 2.Sd2+ cxd2#
1...f6 2.Qxc3+ Qxc3#
1...Bxe4 2.Qxd5+ Bxd5#

 黒R/Bの焦点(critical point)へ移動する初手は、如何にも筋という感じ。これに対する変化5種が盤面23枚(!)と釣り合いが取れているかどうかは、微妙なところか。

           長谷川哲久

(詰パラ 昭和61年5月号、半期賞)

59龍、47玉、56龍、同玉、58龍迄5手詰。

 龍ソッポによる邪魔な龍の自力消去。金銀を使わない配置にも作者のセンスの良さが伺える。

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