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JOSIF KRICHELI傑作選(5)

(5) Josif Kricheli (Loshinsky Memorial Tourney 1982, 3rd Prize)

#14 (5+11)

 前作と本作を比較してみるのも面白いかもしれない。(5)は3rd Prizeを受賞した作品であり、最新のアルバムで満点の12ポイントをたたき出した作品でもある(ちなみに、1st Prizeと2nd PrizeはそれぞれH.P. REHMとV. RUDENKOの作であり、これらもまた12ポイントを獲得した)。ここでは、BがSに「置き換わって」いる(白Sc7は、然るべきタイミングでキーを与える為のみに置かれている。この作者にしては珍しいことだ)。

 トライは1.Rag2?で、これは2.Rg1+ Kh2 3.R6g2#をスレットとして持つが、1...exf5!で逃れ。キーは1.Bg4!(2.Bf3#)だ。以下、1...Kg1 2.Bh3+ Kh1 3.Bg2+ Kh2! (3...Kg1?なら、 4.Bc6+ Kf1 5.Bb5+ Sd3 6.Bxd3+ Ke1 7.Kb1#まで。同様の筋はKh2では成立しない)4.Bf1+ Kh1 5.Be2! (6.Bf3#) 5...Kh2 6.Sd5! (スレットは7.Bf3+ Kh3 8.Sf4+ Kh4 --- 9.Rh2 or Rg4#) 6…exd5! (黒はこの捨駒を取らざるを得ない。もし6...e5 ?なら、7.Bf1+ Kh1 8.Bg2+ Kh2 9.Be4+ Kh3 10.Bf5+ Kh4 11.Rh2# までだし、8...Kg1としても9.Be4+ Kf1 10.Se3+ Ke1 11.Rg1#までの詰)、これで黒Pe6を移動することができたので、白Bはまた1枡ずつ元の位置に戻らなくてはならない:7.Bf1+ Kh1 8.Bg2+ Kg1! (8...Kh2?だと、9.Be4+ 10.Bf5+ 11.Kh2#) 9.Bh3+! (もう9.Bc6とはできないし、9.Bxd5+??と黒Pを取るのも、この後黒Qがc4に利いてくるので意味が無い) 9...Kh1 10.Bg4 (11.Bf3#) 10...Kg1 11.Bf5+ Kh1! (11...Kf1?だと、12.Bh3+ Ke1 13.Rg1#まで) これで今度は、トライの筋が成立することになる:12.Rag2! --- 13.Rg1+ Kh2 14.R6g2#.

 白Bの軌跡は本当に美しい!最後に、2.Sd5? (スレットは3.Bf3+ Kf1 4.Se3+ ...) とすると2...Qh7! で逃れる(2...exd5?? は3.Bf5+以下簡単)ことを指摘しておこう。

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