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温故知新(詰パラ437号)

 今日読んでいるのは詰パラ437号(平成4年7月号)。学校を覗いてみると、誰かさんが大学担当になっている。編集長の口車にまんまと乗せられてしまったのだが、解説した作品が看寿賞を取ってくれたので最低限の仕事はできたような気がしている。
 お隣の大学院も、護堂氏から森長宏明氏に交代している。森長氏も中学校担当に続き二度目の筈。担当って、やっているときは色々と面倒な事ばかりなんだけど、後から思うと実に楽しかったように思えてくるから不思議だ。再登板する人が多いのも、きっとその為なんだろう。

 さて、この号は看寿賞発表に14Pを割いている。受賞作以外にも、候補に挙がった数々の傑作と推薦人の短評を漏れなく載せるというスタイルは読みごたえ抜群。柳原編集長が在任中にされた詰パラ改革の中でも、この「看寿賞の充実」というのは特に高く評価されるべきものではあるまいか。
 では、候補作の中から私好みの作を一局紹介しよう。

           林 雄一

(将棋世界 平成3年6月号)

A49角、イ同と、34角、25金、同龍、17玉、16金、同桂、28金、同桂成、16龍迄11手詰。

A34角は25金、49角、38と!で逃れ。
イ38とは43角以下。
イ38金は43角、同飛、38角以下。

 初手と3手目の手順前後が成立しそうでしない。この微妙な綾を軸に、その後も金の移動捨合、桂の二段跳ねが入って綺麗に収束する。僅か11手の中に現代詰将棋の粋を詰め込んだような作品。

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