透明駒解答選手権対策講座(1)

 これから数回にわたって、来月の透明駒解答選手権で使用されるフェアリールールについて説明していきます。フェアリーと聞いただけで敬遠される方も多いと思いますが、そのような方にも興味を持って頂けるように、極力短手数で論理構成もスッキリしたものを選んだ心算です(尚、引用された作品のうち、作者名のないものは全て拙作です)。
 まず第1回は、対面を取り上げてみましょう。


1、対面

 対面の定義は以下の通りです。

対面:盤上の駒は、すぐ前のマスに敵の駒があると、動き (効き) がその駒の動き (効き) に変化する。1段目の桂香歩は成らなければならないが、2段目への桂不成は可。

 普通の詰将棋と異なり2段目への桂生が許されるのは、将来1段目に敵駒が来れば自力で動ける可能性があるからです。昔は対鮮と呼ばれたこのルール、今ではチェスプロブレムの世界にもface-to-face(FTF)という名称で導入され、市民権を得ています。

 では、実際の作品を見て頂きましょうか。まずは透明駒を含まない例です。

1 佐々木浩之(対鮮ばか詰 5手)


 作意は67桂、66飛、47桂、54玉、55桂迄5手詰です。初手67桂に対して66飛!と受けるのが、対面特有の合駒(これを対駒と呼びます)。これで67桂は飛の性能になったので、3手目は47桂とします。そして54玉に対して55桂と跳ねると、玉は桂の性能に、逆に桂は玉の性能になっているのでこれで詰。
 最終手の「玉頭桂」は対面の基本手筋ですので、是非ご記憶下さい。


 次に、透明駒を導入した例をご覧に入れましょう。

1 対面協力詰 1手(透明駒1+0)2



 作意は13歩生!迄1手詰です。「34角で先手玉に王手がかかっているんじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、ご心配なく。これが合法な着手であることから34角は性能変化していることになり、角の性能に変化した先手の透明駒が35にいることが証明されます。

 性能変化が分かりやすいように、利きが入れ替わった駒はゴシックで、そして透明駒がいることが判明した枡は太枠にしてみました(この表記法は今後も用いますので、是非ご記憶下さい)。35の透明駒は仮に歩だったことにすると、13歩生と指した時点で各駒の実際の性能は以下のようになっている訳です。

1-2a 対面協力詰 1手(透明駒1+0)

ちなみに、うっかり13歩成とすると11玉と躱されてしまいますのでご用心下さい。

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