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楽しいレトロプロブレム(9)

(8) Wolfgang Pauly (The Chess Amateur 1913)

#2 b)+bPg2 (4+4)

 Orthodoxでは、それが論理的に否定されない限り白から指し始めることになります。ということは、その直前の着手は黒だった筈ですが、そうすると出題図において黒のKとRがどちらも不動ということはあり得ません。従って、a)では黒の0-0はillegalで、作意は1.Ra8! Kf8/Rg8+ 2.Be5/Bg3#となります。尚、1.Be5?では1...Rg8+!で逃れです。

 b)では、黒Pg2が加えられた為に黒のKとRが不動である可能性が出てきます。レトロでは、castlingは「不可能性が証明できない限り可能」ですから、黒の0-0は今度はlegalとなります。よって、今度は1.Be5!がkey moveとなり、その後は1...Kf8/0-0 2.Ra8/Rg3#となります。a)と同様に1.Ra8?とすると、今度はcaslingによって逃れとなるのは明らかですね。

 必要最小限の配置で、castlingの可否を巡るロジックが鮮やかに描かれています。2解で白の初手と2手目が入れ替わる構成も見事で、流石は巨匠Paulyの作品ですね。

 ちなみに、castlingの可否に関するレトロ解析をプロブレムに初めて持ち込んだのは、かの有名なSam Loydです。

(8-a) Samuel Loyd (Musical World 1859)

#2 (2+4)

 作意は1.Qa1! --- 2.Qh8#というもので、1...0-0-0はillegal!
全く無駄がなく、原理図にして完成品という感じですね。

(9) Martin Wolfgang Hoffmann (Die Schwalbe 122 04/1990)

Proof Game in 8.0 moves (14+14)

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