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温故知新(詰パラ343号)

 今日は詰パラ343号(昭和59年9月号)を読んでみることにしよう。学校に目を通すと、大学院に上田さんの傑作を発見!

           上田吉一

(詰パラ 昭和59年9月号)


36飛、25玉、15と、同玉、59馬、25玉、26飛、14玉、15歩、同玉、
66飛、25玉、26飛、14玉、15歩、同玉、

          (16手目)

 序は妥当な所。66桂を手に入れるまでは必然だ。問題はここから。

36飛、48歩、同馬、25玉、26飛、14玉、15歩、同玉、


          (24手目)

 まず36飛と開くのが肝心。これに対し単に25玉なら34銀-85飛で作意に短絡するので、玉方は48歩と中合する。(変化で77馬と出る手を消している)しかしこれで48馬型になったので、次は96飛と開く。

96飛、25玉、36銀上、14玉、25銀、同玉、26飛、14玉、15歩、同玉、

           (34手目)

 これは47銀を消去する際の変化に備えた手だ。47銀に対し16玉なら、桂が消えたので以下25銀、同玉、26馬以下詰む。また25銀を同桂でも15歩以下簡単。これらの変化において93飛に狙いをつけておく必要があるのだ。

56飛、25玉、47馬、15玉、37馬、25玉、26飛、14玉、15歩、同玉、

          (44手目)

  47銀が消去できたので、次は56飛とする。これは74馬の利きを止める意。これによって馬鋸が成立する。馬を37迄近づけておいて、再び36飛とする。


36飛、25玉、34銀、同と、26飛、14玉、15歩、同玉、

          (52手目)

 これでようやく45銀も消去できた。(馬を引き付けたのは、26飛に対して35玉の変化の為)次は56飛だ。

56飛、25玉、47馬、15玉、48馬、25玉、58馬、15玉、59馬、25玉、26飛、14玉、15歩、同玉、

          (66手目)

 56飛の意味付けはさっきと一緒。収束での打歩詰回避と変化での77馬を実現すべく、今度は馬を遠ざけておく。これでやっと86飛が成立する。狙いは勿論85銀の入手だ。

86飛、25玉、85飛、同馬、26銀、16玉、28桂、同歩成、17歩、27玉、37馬迄77手詰。

           (詰め上がり)

 85銀が入手できて、あとは簡潔な収束に入る。85飛に対し35ととすると変長になるのが残念だが、これだけの論理の積み重ねは見事としか言いようが無い。
 構成的には「極光」50番(「極光21」だと94番)と対になる作品だが、あちらが上品で完璧な仕上がりなのに対し、こちらは上田さんの荒々しい表現衝動にじかに触れているような感じがする。

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