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私家版・近代将棋図式精選(81)

          (159)市島啓樹

159 市島啓樹

          (近代将棋 平成5年10月号)

26桂、同と、45銀、同馬、54飛生、43玉、52飛成、34玉、54龍、44馬引、同龍、同馬、52角、43馬、同角成、同歩、25角、同と、35歩、同と、33銀成迄21手詰。

 市島氏の近将初入選がこの作である。不成による邪魔駒消去、移動合による打歩詰誘致のいずれも既出の筋ではあるが、これらを一局に詰め込んで無理なく纏め上げた作者の手腕、そして何より論旨展開の明快な手順構成は既に新人のそれではない。その後の構想派作家としての氏の大成を予感させるに足る、鮮烈なデビュー作であった。

 以下に参考図を挙げておいた。それぞれ「盤上のファンタジア」第23番と第55番である。

          (参考図1)若島 正

159-1 若島 正

          (詰パラ 昭和51年12月号)

35銀、同角生、26桂、同角、36香、24玉、44龍、34角、33龍、同香、
25歩、同角、23銀成迄13手詰。


          (参考図2)若島 正

159-2 若島 正

          (近代将棋 昭和42年11月号)
           第30期塚田賞中編賞

22飛、13玉、24角、14玉、12飛生、23玉、32飛成、14玉、12龍、同香、
15歩、23玉、42角成、24歩、同馬、22玉、23歩、11玉、33馬、同桂、
22歩成迄21手詰。


          (160)富樫昌利

160 富樫昌利

          (近代将棋 平成5年12月号)
           第82期塚田賞短編賞

59飛、49角、同飛、同玉、69飛、38玉、27銀打、同と、39飛、同玉、
93角、49玉、48角成迄13手詰。

 初手59飛打とすると作意同様に進むが、8手目に37玉とされて逃れ。そこで57飛を引いて69飛(限定打)と打つと、先の変化が59角でぴったり詰む。打ち換えの一種とみなせるかもしれない。。
 地味な構想だが、初手の心理的な不利感とコンパクトな構図が相まって完成度の高い作品に仕上がっている。

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