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LE COIN DU RETRO(8-1)

1、新しいALBUMの到着

 77-79年度のALBUMが発刊された。800題が収録されており、その中にはレトロも11題含まれている。その中のⅢは、本誌10号のレトロコーナーで紹介したものだ。それ以外の作品を2つ見て頂くことにしよう。

(1) W.Dittman (0-0 1979, 1st Prize)

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           4手戻してキャスリングせよ
           Proca-Retractor (2+7)

 まず(1)は、Proca Retractorのスペシャリストによる作品だ。1.0-0と指せる形だが、白はまず手を戻さなくてはならない。1.Rh4xQh1!とし、以下1...Q--+ 2.Rb4xBh4! B--+ 3.Rb1xBb4! B--+ 4.Ra1-b1として 1.0-0-0とすればよい。1.Rh4xRh1?と戻すのはトライで、1...Rh2-h1+!とされ、その後3...Rd2-h2+!とキャスリングを防がれてしまう。楽しい作品だが、本誌4号のXV, XVIより配置が重い。それらは選ばれていないのだが、どういうことなのだろうか?

(2) B.Ostruh, M.Klasinc (feenschach 1977, 1st Prize) 

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            本文を参照せよ (7+9)


17.B.Ostruh, M.Klasinc(5手前の局面)

           *5手戻した局面

 (2)はレトロにおける「バロック」だ。白黒双方が5手戻し、最初の着手が決定できるRをできるだけ多く配置せよという問題だが、解答は1.Ba8xRh1 Sa2xRc1 2.Bg2xRa8 Rf8xRa8 3.Rb8xSa8 Sc3xPa2 4.b7-b8=R 0-0 5.Bf1-g2 h4xg3 e.p.! (勿論、更にその1手前は 6.g2-g4)である。これにより、我々は6枚のRの初手を知ることができる。白Ra1は0-0-0(!)、白Rh1はRh1-g1、白Rb8(f筋の白Pが成ったもの)はRb8xSa8、黒Ra8はRa8-b8、黒Rh8は0-0、黒Rg1はRg1-h1だと確定する。力作!

 分析がやや込み入ったものになると、ALBUMの解答は満足のいくものではなくなる。Probleme a ChercherのR29, R30の解答が、たった2行だなんて!

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