私家版・近代将棋図式精選(03)
(4)添川公司
(近代将棋 昭和55年3月号)
第55期塚田賞中編賞、第19期看寿賞中編賞
17角、62飛、83桂、81玉、91桂成、同玉、82角、81玉、71角成、同玉、
62角成、同玉、63飛、71玉、82龍、同玉、74桂、71玉、61飛成、同玉、
62金迄21手詰。
初手17角の最遠打が深謀遠慮の一手。もしこれを26角としたら、どうなるのだろうか?この場合は35香!という絶妙手がある。これは以下83桂、81玉、91桂成、同玉に対して37角と引く手を消しているのだ。
従って35香は同角と取るしかないが、以下同じ要領で35-44-53-62と連続で香合をされて逃れ。所謂「オーロラ逃れ」である。しかし17角なら、5枚目の香はないので、玉方も別な筋で延命を図ることになる。それが2手目の飛合だ。
これは、先ほどの筋に入ろうとして7手目28角とすると、73歩(妙手)で逃れるという魂胆。以下同角成、82歩合(限定)、同馬、同飛、同龍、同玉で詰まないのだが、こういう局面がちゃんと逃れることも、作者の才能に裏付けられた天運を強く感じさせる。結局攻方は91馬を消去してから62飛を入手し、更にこの飛も龍も捨て去って、手際よく詰めあげる。
尚、本作のヒントになったのが、以下の若島作。こちらは紛れの逃れ順が連続桂合となっている。
(参考図)若島 正
(近代将棋 昭和54年12月号)*改良図
第54期塚田賞中編賞
(5)谷口 均
(近代将棋 昭和55年4月号)
33金、12玉、24桂、同金、23金、同金、24桂、同金、13金、21玉、
33桂迄11手詰。
5手目の金の捨て味が実に良い。要するに4手24同金と取った局面で33金は邪魔駒になっているのだが、いかにも必要な駒に見える構成が巧い。小駒図式の佳作といえよう。
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