楽しいレトロプロブレム(12)
(11) Michel Caillaud (Problemesis 1998, 4th Com.)
手数計算をすると、盤面に配置されている駒だけで白は8手、黒は11手指したことが分かります。白Kは明らかにd5-e6-f7と侵入していますから、黒Bc8の利きを止める駒が必要です。しかし黒には1手の余裕もありませんから、白はd7に何か自分の駒を置かねばなりません。白に4手の余裕があることを考慮すれば、それがQかBであることは明らかですね。ここまで考えたら、後は実際に駒を動かしてみた方が早いでしょう。作意は1.e4 e5 2.Ke2 Bc5 3.Kd3 d6 4.Kc4 Kd7 5.Qg4+ Kc6 6.Qd7+ Kb6 7.Kd5 f5 8.Ke6 Sc6 9.Kf7 Sd4 10.Qa4 Sb5 11.c4 Bd4 12.Qd1となります。白Qによって盤上に描かれた正方形の軌跡(g4-d7-a4-d1)が、実に鮮やかですね。
このように、幾何学模様の軌跡を描いて初形位置に戻ることをRundlaufと呼び、これまたProof Gameでは頻出のテーマです。特に、本作のように駒取りなしでのRundlaufはQuiet Geometrical Circuitとも呼ばれているようです。(勿論、駒取りなしだと創作難度がぐっと上がります)
(12) Henri Nouguier (Rex Multiplex 18, 1986)
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