見出し画像

温故知新(詰パラ364号)

 今日は詰パラ364号(昭和61年6月号)を読んでみることにしよう。ページをめくると、すぐに看寿賞のページが目に飛び込んでくる。しかも9ページも割いて、選考委員の方々の様々な意見を載せている。前年度は看寿賞にたった3ページしか割いていなかったことを考えると、これは柳原編集長が臆することなく自分のカラーを出していった結果だろう。
 個人的には、山本昭一氏の選考結果が興味深かった。というのは、彼は短編・中篇は該当作なし、長編は「イオニゼーション」を推して「書かなくてもわかると思う。当然の結果」とだけ付記していたのだ。うん、全くその通りですねと当時の私も頷いたものだ…というのは一寸ウソで、本当は藤本 和の「虹色の扉」が看寿賞を取れなかったことを自分のことのように悔しがっていた記憶がある(←お里が知れますね)。
 ちなみに受賞作は、短編が愛上夫氏、中篇が山本民雄氏、そして長編が藤本 和氏の七種合と橋本孝治氏の「イオニゼーション」だった。

 さて、6月号といえば短コンであるが、ここにも傑作と呼んでも差し支えない作を発見した。

           赤羽 守

(詰パラ 昭和61年6月号)

79桂、同銀生、98金、78玉、59飛、34龍、89角、同玉、88金打迄9手詰。

 3手目98金!この手をこの初形で成立させるのが赤羽氏の力量だ。その後も緩みなく纏めて、ぶっちぎりで首位になった。

 それから、この364号はあの「ミクロコスモス」が発表された号でもある。つまり、まさしく歴史が塗り替えられた、そういう号なのである。とても全手順を書く気力はないが、図面だけは載せておくことにしよう。(ちなみにこれは、この号に発表されたオリジナルの図面である)

           橋本孝治「ミクロコスモス」

(詰パラ 昭和61年6月号、第25期看寿賞)

 あと、デパートで康平君の軽趣向を見つけた。彼はこういう軽めのものを手掛けると抜群に巧い。

           山田康平

(詰パラ 昭和61年6月号)

58金、69玉、68金、同金、78銀、同金、同龍、59玉、58金、49玉、
48金…28金、同金、18銀、同金、同龍、39玉、38金…88金、同金、
98銀、同金、同龍、79玉、78金…18金、29玉、28龍迄51手詰。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?