プロパラを振り返る(164)
今日は、17th Japanese Sake Tourneyから作品を紹介したいと思う。今回のお題はPartial Paralysisだ。
Partial Paralysis:駒Aが駒Bに取りをかけたとき、駒Bの動きは本来のものから駒Aの能力を差し引いたものになる。例えば、白Qa1/黒Bc3なら、Bは動けなくなり、QはRの動きになる。又、白Qa1/黒Qc3なら、どちらも動けなくなる(即ち、マドラシ状態になる)。
キャスリングについては、Kの動き1手1手について合法なときのみ可能とする。
要するに、簡単に言うとマドラシを拡張したルールだ。キャスリングについての取り決めが少し分かりにくいと思うので、補足説明したい。
(図1)
この図において、0-0-0は合法である。何故なら、白Kがd1に来た瞬間に、このKはc2,d2,e2への利きを失うが、c1へは動ける。従って、e1にいたKがc1迄移動することを妨げる理由はない。
しかし、0-0は非合法である。何故なら、白Kがf1に来た瞬間に、このKはg1への利きを失うからである。
では最初に、例題を2作紹介しよう。
(320)高坂 研(Dresden 2017 Sake Tourney, example)
H#2 2sols.(3+2)
Partial Paralysis
1.Qa1 Bd4 2.Kf6 Rf2#
1.Qh1 Rh2 2.Kh6 Be3#
Qのcorner-to-corner move2種で、シンプルにODTを表現してみた。尚、白Kも余詰消しに働いているので、不要駒にはなっていない。
(321)高坂 研
#1 (4+3)
1.fxg6 e.p.#
こちらはボツ作。いつもルールの特性を知るために#1やH#1から作ってみるのだが、ついつい本能的にレトロを絡めてしまうのが悪いクセ(笑)。
さてここからは、Prize Winner達です。まずは1st Prizeの作品から。
(322)Manfred Rittirsch (Dresden 2017 Sake Tourney, 1st Prize)
H#2 2sols.(5+11)
Partial Paralysis
1.Bxc1 a8=B(Q?) 2.Rc4 Bf5#(3.Qf7??)
1.Sxd3 a8=R(Q?) 2.Bc4 Rh1#(3.a1=Q??)
Zilahi、そしてc4でのGrimshawといった要素に加え、ルールを活かしたunder promotionも入っている。全体の雰囲気はK-madrasiに近いか。
(323)Valery Gurov, Georgy Evseev (Dresden 2017 Sake Tourney, 2nd Prize)
H#2 2sols.(9+10)
Partial Paralysis
1.Ba7(Bb6?) cxb8=S 2.Qc5 Kd4#
1.Re6(Re7?) c8=S 2.Qe5 Ke4#
こちらはBristol2種。黒Sの利きを消しておいて白Kが黒Qに体当たりするというmating moveは、感覚に訴えるものがある。
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