プロパラを振り返る(31）

(62) 岡谷阿矢子 (Problem Paradise 14, 1999) 

　　　　　　　　　　　Proof Game in 18.5 moves (14+14)

1.g3 e6 2.Bg2 Qf6 3.Bxb7 Qxb2 4.Sf3 Qc3 5.xc3 Ke7 6.Be3 Kf6 7.Sbd2 Kf5 8.Rb1 Kg4 9.Rb6 Kh3 10.Ra6 Kg2 11.Bb6 Kxh1 12.e3 Kg2 13.Ke2 Kh3 14.Qh1 Kg4 15.Sf1 Kf5 16.S3d2 Kf6 17.Kf3 Ke7 18.Kg4 Ke8 19.f3

　白の手は19手ちょうど。よってRh1は不動のまま黒に取られた訳だが、このRを取った黒駒が黒Kだとは！10号に既に同構想の作が発表されているにせよ、作者の創作力には目を見張るものがある。 

　　　　　　　　(reference problem)
　　　　　　　　Thierry le Gleuher (Problem Paradise 10, 1998) 

　　　　　　　　　　　Proof Game in 17.0 moves (15+15)

(63) Pascal Wassong (Problem Paradise 14, 1999) 

Proof Game in 13.0 moves (14+16)

1.h4 e5 2.Rh3 e4 3.Rb3 e3 4.Rb6 cxb6 5.c4 Qc7 6.c5 Qh2 7.c6 d6 8.c7 Bf5 9.c8=S Sd7 10.Se7 Sdf6 11.Sd5 0-0-0 12.Sb4 Kb8 13.Sc2 Bxc2

　白は4手目にRを捨てた後、もう何もする必要がないように見える。だが残された手は9手。この奇数手を消費する為の手段としてPのRundlaufを用いようというのが、Wassongの描いた構想だ。Sという勝手気ままな軌道を描く駒をきっちり制御してみせたところに、作者の力量が窺える。
（平成24年6月13日記）