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温故知新(詰パラ328号)

 今日は詰パラ328号(昭和58年6月号)を読んでみることにしよう。6月は看寿賞発表の月である。昭和57年度の看寿賞受賞作は以下の通り。

短編 該当作なし(奨励賞)有吉弘敏
中編 該当作なし(奨励賞)山本民雄
長編 「メタ新世界」山本昭一

 長編賞は当然(満票だった)として、そのあおりを食らったのが短編と中編ということなのだろうか?この奨励賞というのは多分に鶴田主幹の匙加減的なところがあり、どうもすっきりしない。実際、短編の有吉作は8票獲得しており、票が入った作の中ではダントツで「該当作なし」の7票も上回っているのに…。政治の世界じゃあるまいし、こういうのは妙なしがらみ抜きですっきりと決めて欲しいものだ。

 続いて、地味なニュースを一つ。しばらく消滅していた虫研が、今号から復活している。担当は丸尾学氏から山本行雄氏にバトンタッチしている。虫研のように詰将棋に関係ないコーナーがあるのも、鶴田主幹の度量の広さなんだろうな。

 さて、6月号といえば短コンである。今回はその中から4作引用してみることにしよう。

           有吉澄男

(詰パラ 昭和58年6月号、首位作)

35飛、36桂、46銀、同玉、48龍、同桂成、39飛迄7手詰。

 配置はやや多いが、手順は一級品。これぞ超短編!

           岡村孝雄

(詰パラ 昭和58年6月号)

13角、同龍、93角、同龍、46銀、同桂、17龍迄7手詰。

 スケールの大きな手順、そして無駄のない配置。これが氏の初入選らしいが、まさに「栴檀は双葉より芳し」だねえ。

           橋本孝治

(詰パラ 昭和58年6月号)

47桂、58玉、35桂、57玉、43桂生、48玉、31桂成迄7手詰。

 普通の詰将棋だけやっていたのでは、この発想は絶対浮かばない。フェアリーテイスト溢れる珍作。

           小林敏樹

(詰パラ 昭和58年6月号、4位)

62銀生、54玉、53銀成、同香、65龍、同玉、64角成迄7手詰。

 龍の利きをわざわざ止める初手には、かなりの不利感がある。

 ちなみに、この短コンでは赤羽 守氏の7手詰(例の看寿賞を取った作)も出題されたのだが、何と誤植(48とが38とになっていた)。でも、結局小学校で再出題されて柳原さんの名解説と巡り合ったのだから、むしろ運が良かったのかもね。

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