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温故知新(詰パラ345号-02)

 大学院を見てみると、「帰去来」が載っている。早速引用しておこう。

           添川公司「帰去来」

(詰パラ 昭和59年11月号、第23期看寿賞長編賞)

39金寄、19玉、18と、同玉、17と、19玉、18と、同玉、17と、同玉、
27飛、18玉、29金、同玉、16桂、19玉、29飛、同玉、25龍、38玉、
37と、39玉、38と、同玉、47馬、同玉、36龍、48玉、58金、49玉、
59金、同玉、39龍、68玉、48龍、79玉、88龍、69玉、58龍、79玉、
89金、同玉、67角、99玉、69龍、98玉、89龍、97玉、96と、同玉、
78角、95玉、98龍、85玉、96龍、75玉、64銀、同玉、66龍、73玉、
75龍、83玉、72銀、92玉、91と、同玉、A95龍、82玉、84龍、72玉、
63銀成、同玉、53香成、72玉、63成香、同玉、53香成、72玉、63成香、
同玉、54と、62玉、63と、同玉、45角、52玉、B42銀成、同玉、43歩成、同玉、54龍、42玉、41と、同玉、31歩成、42玉、41と、同玉、23角成、 42玉、24馬、33桂、同馬、同玉、44龍、32玉、24桂、23玉、34龍、13玉、
12桂成、同玉、11と、同玉、21歩成、同玉、13桂、12玉、32龍、13玉、
22龍、14玉、24龍迄123手詰。

A81歩成、92玉、82と、同玉、84龍の迂回手順が成立
B43歩成は61玉、81龍、71角が逆王手!

 双玉無防備煙というある意味究極の条件作なのだが、その条件をクリアするための無理が全く感じられないところが素晴らしい。Bの逆王手を利用した逃れ順で双玉らしさが出ているし、収束で23角成~24馬として桂合を稼ぐところは、実は余詰順がそのまま作意に昇格したものだという話も、最も詰将棋の神に愛されている男のエピソードとして納得させられる(普通、煙詰で収束に余詰が見つかったら、それまでの逆算が全部パーになってしまうところだ)。氏の煙における超絶技巧が遺憾なく発揮された名作。

もう一つ、フェアリーランドにも傑作を発見! こちらは山田嘉則氏の打歩バカ詰だ。

           山田嘉則

打歩バカ詰 95手
(詰パラ 昭和59年11月号、第11回前衛賞長編賞)

98香、同桂成、97歩、同成桂、87銀、同成桂、97歩、同成桂、78角、87香、同角、同成桂、
「98香、97角、同香、同成桂、69角、78香、同角、87香、同角、同成桂」
「  」×2
98香、97角、同香、同成桂、69角、同飛成、87金、同成桂、98香、97角、同香、同成桂、78角、同龍、87金、同成桂、98香、97角、同香、同成桂、 87金、同成桂、98香、同龍、97歩、同成桂、69角A78香、同角B87龍、 同角、同成桂、98飛、97角、同飛、同成桂、69角、78飛、87金、同成桂、 98香、同飛生、97歩、同飛生、87角、同飛生、97歩、同桂成、85銀、同飛生、88桂、同成桂、97歩迄95手詰。

 明らかに最終手は97歩だが、これを打歩にするには85桂が邪魔。ところが、これを下手に移動させると94角による逆王手がかかる。これへの対処として97歩、同桂成のあと85銀、同飛生という応酬が閃けば、もう解けたも同然。64飛を87に発生させるまでの手の込んだやり取りは文句なしに面白い。前衛賞も当然の傑作。
 ところで、結果稿では「AとBのところで手順前後が成立するのが小キズ」と書いてあったが、すぐには意味が分からなかった。どうやらA78龍-B87香とする順のことらしい。確かに小さなキズだが、でも普通これを手順前後とは言わないよね(では、正しくは何と呼ぶのだろう?)

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