楽しいレトロプロブレム(37)
(36) Raymond Smullyan (The Chess Mysteries of Sherlock Holmes 1979)
黒Kが白桝のみを踏んでe8から脱出する為には0-0とするしかありませんから、castlingがあったことは明らか。問題はen passantです。こちらは局面を詳しく分析する必要があります。
まず、現在白番なのだから直前の着手は黒によるものですが、Pg6xh5だと黒Kがa2にいることと矛盾しますから、Kb3-a2しかありません。では更にその前、白はどうやってQによるチェックをかけたのでしょう?すぐに分かる様に、それはRc2-a2+です。ということは、1.0手前は図1のような局面だったことになりますね。
(図1)
実はこの白R、初形でh1にいたものではありえないのです。実際に動かしてみれば分かりますが、Monochrome Chessにおいては偶数段目にいる白Rは全て成駒なのです!
では、この成Rはどのようにして発生したのでしょうか?勿論初形で白桝にいた白P、すなわちPa2又はPc2が4枚駒取りをして、a8かc8で成ったものなのです。(g8で成るには6枚の駒取りが必要になりますから、これは不可能です)
すると、取った黒駒は何だったのでしょう?当然これは、初形で白桝にいた黒駒に限られます。つまり、Ra8,Pb7,Bc8,Sg8の4枚ですね。ところがSg8は自力で動けませんから、白Pに取られることもありません。
従って、白桝の白Pは黒桝にいる駒を1枚取ったということになりますね。Monochrome Chessにおいてそれを唯一可能にするのはen passant captureです! 以上で証明が完了しました。
(37) 橋本 哲 (Problemesis 12/1999, 2nd Prize)
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