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L.Ceriani レトロプロブレム傑作選(27)

(27)Luigi Ceriani (Probleemblad 01-02/1960)

1手詰にできるのはどちらか?(14+13)

 なくなった駒は白がQPの2枚で、黒がQPPの3枚。白側の駒取りはg筋で1回あり、黒側の駒取りはf筋で1回ある。黒Pe3は直進しているので、白はe-f筋でcross captureしており、白側の駒取りはこれで尽きている。するとa,h筋の黒Pはいずれも成っていることになる。ということは、a筋の白Pは、直進途中で取られている。また、これらの成駒は盤上に残っている。これが2枚の黒Sであることは明らかだろう。では、まずは黒Sa3の成を戻してみよう。その場合、逆算手順は次のようになる。

1-4.Sa1-b3-d4-b5-a3(白はBを往復する)5-8.Pa5-a4-a3-a2-a1=S(これ以上下げると、Ra8が戻れなくなる)

 この後、今度は黒Sh3の成をh1で戻すことになるが、その際に必要なtempo moveの為に、予めa筋の白Pを戻しておく必要がある。これにSh3を使うのだが、Sf2の瞬間に白の指し手はb筋のPを戻す手しかなくなる。つまり、黒Sが往復してd1まで戻ってきたときには、白Pa4,b3という状態になる。

           (図1)

 ここで手数計算をしてみよう。黒の手は14手。白は、Bが奇数手動いていて、Pb3-b4もあるので総手数は偶数手。従って、白の手数もまた14手だ。ここで、次に黒が戻す番にならなければならないので、初形もまた黒から戻し始めなければならないことが分かる。つまり、出題図は白番である。従って、作意は1.Sh4#となり、1.Sxc2#??はillegalである。

 しかし、計算上はこれでOKだが、実際に戻すにはもう少し注意が必要である。単純に1-4.Sa1-b3-d4-b5-a3 5-8.Pa5-a4-a3-a2-a1=S Bf2-g1 とすると、9.Sf2-h3??が不可能になってしまう。黒Pをa5まで戻してからだと、tempoが合わなくなってしまうのだ。これを避けるには、Pa4で止めておき、Bg1のタイミングでまずSh3を出しておいて、それからPa5-a4とすればよい。これで無事、図27-1に到達することができる。

具体的には、Retract:1...Sb5-a3 2-4.Bg1-f2 Sa1-b3-d4-b5 5-7.Bf2-g1 Pa4-a3-a2-a1=S 8.Bg1-f2 Sf2-h3 9.Pb3-b4 Sd1-f2 10.Bf2-g1 Pa5-a4 11-16.Bg1-f2 Sd1-c3-b5-Pxa3-b5-c3-d1
と戻せばよい。

 この後の逆算手順もなかなか難しいが、以下17.Bg1-f2 Sf2-d1 18.Pb2-b3 Sh1-f2 19.Bf2-h1 Bg1-h2 20.Pa3-a4 Ph2-h1=S 21.Pa2-a3 Ph3-h2 22.Ph2xSg3 Sh1-g3 23.Bh4-f2 Sf2-h1 24.Sg3-f1 Sh1-f2 25.Kf1-e1 Sf2-h1 26.Re1-e2 Sh1-f2 27.Ra1-e1 Sf2-h1 28.Ke1-f1 Sh1-f2 29.Kd1-e1 Re2-d2+ 30.Sf1-g3 Kf2-f3 31.Rg3-g4+ Rg4-g5 32.Bf6-h4 Rh4-g4 33.Bg4-h5 Rh8-h4...とすれば右上をほぐすことができ、以降の逆算は容易である。

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