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市島啓樹の12局(4)

           (7)市島啓樹

7 市島啓樹(13手詰)

          (将棋世界 平成5年12月号)

24桂、33玉、23角成、同玉、12角、33玉、32桂成、同玉、44桂、33玉、   23角成、同玉、24金迄13手詰。

 初手24桂とセッティングしてからの展開が、実に美しい。難しく言うと「桂の打ち替えの為の角の打ち替え」ということになるが、そういう理屈よりも打ち替えのリズムの心地よさの方が遙かに強く印象に残る。
作者自身「この作品は私の短編における理想である」と仰っているが、構想派の雄として知られる氏の叙情的な一面が強く現れた一局ではなかろうか。

           (8)市島啓樹

8 市島啓樹(17手詰)

          (詰パラ 平成10年11月号、半期賞)
           修正図

45桂、イ54玉、81角、55玉、63飛生、ロ54玉、53桂成、同香、66飛生、 55玉、45角成、同香、56歩、54玉、44銀成、同玉、64飛迄17手詰。

イ同香は42角、同金、同銀、同玉、43桂成、同玉、63飛成以下。
ロ77龍は56歩、54玉、66飛成、72合、55歩迄。

 こちらは紛うことなき市島ワールド。舞台装置を次々と味良く捨駒でセットし、2枚の角のラインを開閉しながら飛が不成で悠々と往復する。最後は用済みになった角を一枚消し去り、両王手でフィニッシュ。何というムシの良い手順だろうか!
 普通これだけやりたい放題の作意を設定したら、ロジックに破綻をきたしたり、余詰消しの配置が山と置かれたりして、見るに堪えない代物になってしまうのが関の山なのだが…。やはりこの作者はモノが違う。

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