見出し画像

G.Donatiプルーフゲーム傑作選(20)

(20)Gianni Donati (Probleemblad 07-08/2000)

画像1

           Proof Game in 20.5 moves (13+13)

1.a4 f5 2.Ra3 f4 3.Rc3 f3 4.Rc6 fxg2 5.f4 d5 6.Sf3 g1=Q 7.Sc3 Qb6 8.Rg1 d4 9.Rg5 d3 10.Ra5 dxe2 11.f5 exf1=B 12.Qe2 e5 13.Qg2 Bc4 14.d3 e4 15.Bf4 e3 16.Sd1 e2 17.Kd2 e1=R 18.Kc3 Re5 19.dxc4 Rb5 20.cxb5 Qa6 21.bxa6

 白側の手数計算をしてみると、ちょうど21手。よって、白のe筋及びg筋のPとBf1は、いずれも原形位置で取られている。又、Pa6が3度駒取りをしていることから、無くなった黒P3枚はいずれも成っていることが分かる。これらの事実から、勘のいい人ならすぐCeriani-Frolkinに思いが至るであろう。ただ、本作の場合、ここからも注意深く局面を解析しなくてはならない。
 まずPa6の軌跡であるが、もし最初の動きがdxc3だったとすると、Qd8の利きによってKがc3に到達できなくなってしまう。従って、Pはd3とした後、Kをc3に移動させ、それから駒取りを繰り返してa6に到達したことになる。つまり、駒取りの地点はc4,b5,a6だ。では、プロモーションした黒Pをそれの地点まで持っていくには全部で何手かかるだろう?黒は全部で20手しかかけられないので、3枚のうち1枚は6手で上記の場所いずれかに移動しなくてはならない。白側はPd2が動くまではKも動けないことから、上の条件を満たすには黒のPd7がe2-f1と駒取りをしてBに成るしかない。残りの2枚の黒Pはそれぞれe1とg1で成ることも明らかだろう。
 ところが「これでもう作者の意図は全部見抜いたぞ」と早合点して、d筋の黒Pから成らせようとするとうまくいかない。実際に駒を動かしてみれば分かるが、実は一番最後に取られるQをb6に飛ばしておいて、それからおもむろにd筋のPを進めないといけないのだ!d筋のPを早く動かしたくなる解答者心理の裏をかいた、一寸イジワルな作意順が印象に残る作品である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?