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温故知新(詰パラ305号)

 今日は、詰パラ305号(昭和56年7月号)を読んでみる事にしよう。おおっと、いきなり表紙が学生服姿の添川さんじゃないか!好きな歌手が八神順子、榊原郁恵というのは、時代を感じさせるなあ。パラに悪形短編が多くて閉口し、一度退会していたというのも、何だか意外だ。
 その彼による、表紙向けの好形短編がこれ。

           添川公司

(詰パラ 昭和56年7月号表紙)

57香、同と、46飛、55玉、67桂、同と、45飛、56玉、68桂、同と、
46飛、55玉、59龍、同と、67桂迄15手詰。

うん、確かに好形だ。飛の知恵の輪っぽい動きはいかにも長編趣向作家の作品という感じだし、収束の龍捨ても余り見ない筋のような気がする。

続いて、フェアリーランドと大学院から1題ずつ引用してみよう。

           左 真樹

天竺詰(詰パラ 昭和56年7月号)

62と、同玉、53と右、61玉、62と、同玉、63と、61玉、62と、同玉、
54桂、69玉、48角、61玉、62桂成、同玉、73歩成、61玉、62と、同玉、 74桂、同玉、67銀、77玉、59角、99玉、23と、11玉、12と、同玉、
13歩生、同玉、25銀、18玉、17金、同玉、27金、18玉、17金、同玉、
26角、同玉、27歩、同玉、36銀左、38玉、47銀、49玉、58銀左迄
49手詰。

 玉がびゅんびゅん飛び回る、いかにも天竺らしい作品である。最後は、初形からは全く想像できなかった美しい四銀詰となる。

           (詰上がり図)

 もう一作は、今や詰将棋作家としてよりもプロブレミストとして有名になった橋本 哲氏の七種合。

           橋本 哲

(詰パラ 昭和56年7月号)

15飛、12金、同飛成、同玉、14香、13角、11金、同玉、13香、12銀
21銀成、同玉、54角、43香、同角成、11玉、12香成、同玉、15香、14歩、 34馬、23飛、14香、13歩、同香成、同玉、15香、14桂、22銀打、同飛、 同銀、同玉、23飛、31玉、32歩、同玉、43飛成、21玉、12馬、同玉、  14香、21玉、23龍、31玉、32歩、42玉、54桂、52玉、64桂、61玉、63龍、71玉、72龍迄53手詰。

実際に盤面に並べて頂ければお分かりと思うが、何とどの合駒にも歩~飛まで七種類の選択の余地があるのだ!この仕上がりでも、作者は「小駒図式にしたかった」とか「盤面をあと1枚減らしたかった」とか仰っているが、一流作家というのは本当に欲深いものである(笑)。
 とにかく本作は「七対子」などと並び、究極の七種合の一つだと言えよう。

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