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温故知新(詰パラ308号)

 今日は詰パラ308号(昭和56年10月号)を読んでみよう。この号には般若一族の登場以降顕著になった、自意識過剰で気持ち悪い連中の台頭に対する拒否反応を示す文があちこちに載っている。そのうちの一つ、小学校の選題の言葉を引用しておこう。

 楽園は何処へ行ってしまったのでしょうか。なんだか荒れていて、どこか殺伐としていて、天才が牙をむいてわっと襲いかかってきそうで、 平凡な庶民はへいこら逃げるしかなく、ああこれは本当に楽園なのでしょうか。秋風がやけに冷たく、ふと悲しくなってしまうのです。
(ある一読者より)

 こういう雰囲気になっていないのは、今のパラがこの頃のパラより良いと思える数少ない点の一つだ。

 学校を覗いてみると、大学に伊藤正氏の傑作を発見!

           伊藤 正

(詰パラ 昭和56年10月号)

22銀、32玉、31角成、43玉、34銀、54玉、55歩、同玉、37角、54玉、
55歩、同銀、45銀打、65玉、66歩、同銀、56銀、54玉、45銀引、43玉、
33銀成、同玉、15角、43玉、34銀、54玉、55歩、同銀、45銀引、43玉、
44歩、同銀、33角成、同銀、44歩、同銀、34銀、54玉、55歩、同銀、
45銀上、65玉、66歩、同銀、56銀、54玉、45銀引、43玉、44歩、33玉、
34歩迄51手詰。

「知的」という形容がぴったりな、銀知恵の輪の現代的表現。序の付け方、59角一枚でキーを設定できていることなど、どこを取っても完璧。
 何でこれで看寿賞を取れなかったのかと思って調べてみたら、この年の中編賞は若島氏の「イ」だった。確かにあれも十分スゴイが、私だったらこっちを選ぶけどなあ…(単純に手数で長編に分類されてしまったのだろうが、これは明らかに「中編」だよ)。

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