見出し画像

G.Donatiプルーフゲーム傑作選(32)

(32)Gianni Donati(StrateGems 10-12/2002)

画像1

           Proof Game in 22.5 moves(11+15)

1.Sf3 e5 2.Sd4 xd4 3.Sc3 xc3 4.dxc3 g6 5.Be3 Bh6 6.Bb6 axb6 7.Qd4 Ra5 8.Rd1 Bc1 9.Rd3 Rg5 10.Rf3 d5 11.Rf6 Bg4 12.Rd6 Bxe2 13.Rd7 Ba6 14.Bb5 h5 15.Bc6 Sxc6 16.a4 Qb8 17.Re7+ Kd8 18.Re4 h4 19.Qe5 h3 20.Rb4 Rh4 21.Rb3 Sb5 22.Ra3 c6 23.Ra1

 黒の盤面配置には19手かかる。又、無くなった駒は白がBBSSPの5枚で、黒はPのみ。黒にはあと3手しか残されていないので、e筋の黒Pが2度駒取りをしてからc3で取られたことが確定する。これとb6での駒取りを加えると、黒の駒取りは3回。あとの2回はどこで行われたのだろう?
 ここでe筋の白Pに着目してみよう。黒Kの動きからこのPが成っていないことは明らかだが、黒の配置をよく見ると、直進途中で取られることも不可能なことが分かる。従ってこれは原形位置で取られていて、黒Bc8がg4-e2-a6という軌跡を辿ったことが判明する。すると、黒に取られた最後の1枚はBf1だ。このBはどこで取られたのだろうか。ここでもう一度配置を良く見てみよう。このBは白枡にしか行けないが、駒取りが可能な黒駒で白枡を踏んでいるのはSだけだ。従って、このBはc6の地点でSb8に取られたということになる。
 ここまでの分析は正しいが、何かがおかしい。そう感じた人は鋭い。というのは、これだけだと白の手が大幅に余ってしまうのだ。実際に手を進めてみると、何を見落としていたか分かるだろう。そう、Bf1をb5に持っていった瞬間、黒Kにチェックがかかってしまうのだ。となれば、d7に白の遮断駒を挟みこむこと、そしてそれがRであることに思い至るのは難しくない。その軌跡を実際に見付けることも又容易であろう。
 明晰な論理の積み重ねによって判明する、白Rのlong Rundlauf。無造作に配置されたように見えるQe5によってその軌跡が限定されているのも巧い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?