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プロパラを振り返る(159)

 今日読んでいるのはプロパラ75号(July-September 2016)。ヘルプと透明駒を1題ずつ紹介しよう。

(309)渡邊一雄(Problem Paradise 75, 2016)

309 渡邊一雄(H#2)

                                        H#2 (5+5)
           b)Sf6→d5

a) 1.Sh4 Sf7 2.Sxf5 Bxb3#
b) 1.Re3 Sd6 2.Rxe5 Rxg6#

 綺麗なODT。公式通りにきっちり対照性を組み込んでいるので解くのは難しくないが、そこを批判するのは的外れだろう。むしろ予定調和こそ、ヘルプの美の本質ではなかろうか。


(310)會場健大(Problem Paradise 75, 2016)

310 會場健大(協力自玉詰 6手)

           協力自玉詰 6手(透明駒2+3)
           type B

X、18飛、17飛、同X、X、28飛成迄6手詰。

 type Bというのは、「透明駒は、駒種と位置が判明しても透明性を失わない」としたもの。盤面に普通の駒が1枚もない所謂白紙問題で、どこから手をつけて良いものか途方に暮れてしまうが、ここでは作意が与えられたものとして、その意味を分析してみることにしよう。

 2手目18飛合で飛は売り切れるので、19にいるのは透明香であり、後手の透明玉は11~17のどこかにいる。また、自玉詰なので先手のもう一枚の透明駒は玉の筈。しかし、それでは5手目に王手をかけている透明駒はどこから来たのだろうか?香でも玉でも王手をかけることはできないが…。
 しばらく考えていると、作者の構想が見えてくる。つまり、初形で18透明玉+19透明香の形なら、初手に玉で開き王手をかける際に駒取りができるのだ!これに気付くと、その後の展開も見えてくる。
 4手目に飛を取ったのは後手の透明玉ではない(もしそうだと、最終手がillegal)ので、後手の透明玉は16にいて、5手目Xは28透明桂を打つ手だったことになる。これより先手玉の位置も29に確定し、17飛を取った玉方透明駒は生桂ではないので(生桂だと29玉に王手がかかってしまうので、5手目Xがillegalになる)、種類は不明だが斜め前への利きは必ず持っている。従って、最終手で先手玉が詰んでいることが証明できた。

 解くのは大変だが、作る方はそれ以上に大変だろう。透明駒に対する作者のあくなき情熱に敬意を表したい。ちなみに、通常の設定だと3手目36飛くらいで玉が可視化してしまうので、27玉以下余詰む。

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