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温故知新(詰パラ336号)

 今日は詰パラ336号(昭和59年2月号)を読んでみることにしよう。まず、小学校に好作を発見。

           谷本治男

(詰パラ 昭和59年2月号)

69飛、59馬、28銀、48玉、68飛、同馬、49金迄7手詰。

 派手さはないが、なかなか技巧的な作。移動中合を取ると詰まない仕掛けも単純にして巧妙。2.86の高得点を叩き出して半期賞を受賞した。
それから、フェアリーランドに面白い作と大作が載っているので、これも紹介しよう。まずは橋本孝治氏の入れ替えパズルから。

           橋本孝治

バカ詰 21手(詰パラ 昭和59年2月号)

21金、同玉、11金、同龍、22香、同角、13桂、同歩、12銀、同玉、
21銀、同龍、11金、同角、22金、同龍引、23銀、同玉、12銀、同龍上、
15桂迄21手詰。

まさしく15パズルそのもの。

 大作の方は、小林看空氏と薬師丸ひろ子(誰のPN?)の合作「集積回路」だ。発表時は不完全だったが、5月号に修正図が載っているのでそちらを引用しておこう。

小林看空・薬師丸ひろ子「集積回路」

バカ自殺詰 846手(詰パラ 昭和59年2月号)*修正図

 最初に手順のアウトラインを説明すると、攻方が目指す詰上がりは66を塞いで87龍までというもの。そのために飛車角を駆使してはるばる23から66までと金を引いてこようという遠大な構想作だ。
 では、まず序の手順から。

87と、98玉、97と、99玉…15玉、14飛、同玉、32馬、15玉、16と、同玉、
「18飛、17飛、同飛、同玉…69飛、79飛、同飛、98玉」=A手順
51桂成、97玉、42馬、98玉、99飛、同玉、79飛、89飛、同飛、同玉、
「69飛、79飛、同飛、同玉…14飛、15飛、同飛、同玉」=B手順
23歩成、24飛、同馬、16玉、
『15馬、17玉…89馬、同玉、69飛、79角、同飛、98玉』=C手順
99飛、同玉、97飛、98飛、同飛、同玉、32角、89玉、
 「B手順」
14飛、同玉、33と、23飛、同角成、15玉、14馬、16玉、
 「C手順」
32角、43飛、同角成、97玉、42馬、98玉、99飛、同玉、79飛、89飛、
同飛、同玉、
 「B手順」
43と、14玉、32馬、15玉、17飛、16飛、同飛、同玉、

          (途中図1)

 ここまでが序盤(もう十分長い!)。手順を追えばお分かりのように、飛でも角でも欲しい駒をすぐ回収できるので、いくら捨てても全く困らない。玉を左右に追い掛け回し、開き王手を利用して23-33-43と少しずつ24歩を66に近付けていく。

 ここまではやや不規則な感じだったが、ここからは規則的な趣向手順となる。

「18飛、17飛、同飛、同玉…69飛、79飛、同飛、98玉」=A手順
99飛、同玉、97飛、98飛、同飛、同玉、53と、43飛、同馬、89玉、
『98馬、79玉…15玉、16馬、同玉』=D手順
14飛、15角、同飛、同玉、42角、16玉、
 「A手順」
97飛、同玉、54と、53飛、同角成、98玉、99飛、同玉、97飛、98飛、
同飛、同玉、97馬、89玉、
 「D手順」
14飛、15角、同飛、同玉、42角、33飛、同角成、14玉、32馬、15玉、
17飛、16飛、同飛、同玉、

          (途中図2)

 これで1サイクル。と金が一つ動く度に角(馬)の位置を直さないといけないので、所謂「一手金鋸」になっている。

 「A手順」
99飛、同玉、97飛、98飛、同飛、同玉、64と、43飛、同馬、89玉、
 「D手順」
14飛、15角、同飛、同玉、42角、16玉、
 「A手順」
97飛、同玉、65と、53飛、同角成、98玉、99飛、同玉、97飛、98飛、
同飛、同玉、97馬、89玉、
 「D手順」
14飛、15角、同飛、同玉、42角、33飛、同角成、14玉、32馬、15玉、
17飛、16飛、同飛、同玉、

          (途中図3)

 やっと65までと金が到達。目的地はもう目前だ。66をと金で塞いで88歩を86まで持って行けば、ようやく収束が見えてくる。

 「A手順」
99飛、同玉、97飛、98飛、同飛、同玉、66と、97玉、42馬、98玉、
97馬、89玉、69飛、79飛、同飛、同玉、87歩、69玉、59馬、39玉…15玉、16馬、同玉、14飛、15角、同飛、同玉、42角、33飛、同角成、
14玉、32馬、15玉、17飛、16飛、同飛、同玉、
 「A手順」
99飛、同玉、97飛、98飛、同飛、同玉、86歩、89玉、98馬、79玉、
97馬、89玉、79馬、98玉、89馬、97玉、79馬、88飛、87飛、98玉、
89馬、同飛成、88飛、97玉、87飛、同龍迄846手詰。

           (詰上がり図)

 いや、スゴイ作だなあ。A手順中、角の曲がり方に非限定があったり(例えば、16飛-29玉の形で以下19飛、同玉、39飛…としても39飛、同玉、19飛…としても同じ)手順前後が成立する箇所があったりするが、それは微細なキズにすぎない。飯田岳一氏の千手超えもそうだったが、バカ自殺詰が持つ可能性をまざまざと見せ付けられたという気がする。

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