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温故知新(詰パラ346号)

 今日は詰パラ346号(昭和59年12月号)を読んでみよう。表紙をめくるとすぐに、「不動玉第二弾」解答発表というのがある。この「不動玉」というのは「双玉図において、先手のみが連続して着手し、先手玉を動かすことができるまでの手数ができる限り長い図を作れ」という、所謂Construction taskだ。ただし「後手玉に王手をかけてはならない」という条件がついている。
 これに挑戦した中でダントツに長かったのが故森茂氏の作品で、実に246手!余りに長いので、適宜省略して、その代わりに途中図を入れておくことにする。(尚、手順は限定されていないことを予め断っておく)

           森 茂

*不動玉 246手(詰パラ 昭和59年12月号)

29金、19金引、18と引、17と引、16と引、15と引、14と寄、24と左上、
35と上、36龍、37金、38金右、29金…98龍

          (98手目の局面)

 先手の目標は、41に銀を挟んで、32成銀-31飛-21玉という手順だ。その為には32馬を移動しないといけない。
 まずは金の鎖をぐるぐる回し、龍を38まで持ってきて外へ出してやる。(途中、24龍が14を飛ばして15に行けること、同様に18龍が19を飛ばして29に行ける事に注意)
 続いて32馬を15に持っていくのだが、これには16手かかる。

          (114手目の局面)

 この局面から、また金知恵の輪を回転させて馬を外に出す。これに55手かかる。

          (169手目の局面)

 これで準備は整った。73とから91銀を開放し、この銀を38まで持っていく。これには15手かかる。

          (184手目の局面)

 あとはまた金知恵の輪で銀を34まで運ぶ。ここに57手かかる。23とを24と引けば、やっと終わりが見えてくる。

          (241手目の局面)

 ここまでくれば後は簡単。銀を23-32-41と移動させて31成銀をアンピンすれば、やっと11玉は動くことができる。

          (247手目の局面)

「あれ、246手じゃなかったの?」と思われた方は鋭い(笑)。実は上の解は正解ではないのだ。どこかで1手短縮できる筈なのだが、いくら考えてみても分からない。
 結果稿を見たらいいじゃないか思うでしょ?ところが、この結果稿が全くいい加減なもので、序の20手くらいと収束の6手のみしか載ってない!「以下原稿用紙3枚かかりますが、森氏の解に誤りがないので略させてください」と書いているのだが、せめて手順のアウトラインくらいは載せないと結果稿の意味がないだろう?
 それに担当者の名前が伏せられているのも何だか怪しい。この覆面担当者の参考図なるものも出題されているのだが、これが森氏の手数を1手上回る247手なので、本当はこちらを引用したかったのだが、作者不明ではどうもねえ。それでも、一応図面だけは載せておくことにしよう。

          (参考図)作者不明

*不動玉 247手(詰パラ 昭和59年12月号)

 森氏の作品がどこで1手縮められるのかお分かりの方は、是非ご教授下さいませ。

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