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楽しいレトロプロブレム(36)

(35) Michel Caillaud (G.Donati 50th JT 12/2003, 1st Prize)

Proof Game in 15.0 moves (13+15)

 なくなった駒は白がRPPの3枚で、黒はP1枚のみ。また、黒の手数計算をすると、盤面配置だけで15手ちょうど。よって、黒Pe7は不動のまま取られています。白Rがb6で取られているのはほぼ明らかです。また、a筋の白Pは黒Ra8がa8-xa4-e4-e6と旋回する途中に取られたのでしょう。では、f筋の白Pは何処で取られたのでしょうか。或いは、取られずに原型位置に戻っているのでしょうか。いずれにせよ、直進途中で取られることはありませんから、f筋の白Pが成っていることは確定です。これにa筋のPの1手とRの3手を加えても、まだ白には6手も猶予があります。これは何を意味するのでしょうか。実際に駒を動かしながら考えてみることにしましょう。
 先にBd4を置いてしまうとRa8の邪魔になることが分かれば、序は1.a4 d5 2.Ra3 Bh3 3.Rb3 Kd7 4.Rb6 axb6とするしかありません。

           (4.0手目の局面)

 この後も、5.f4 Rxa4 6.f5 Re4 7.f6 Re6 8.fxe7 f5と進むのが自然な流れですね。ここが問題の局面です。
 ここで例えば、9.e8=R??などとして悠長に構えていると、11...Qh4+のチェックの応対に苦しめられることになります。白Sb1をf2にでも連れてくれば何とかチェックは受かりますが、残念ながらあと3手ではb1に戻れません。

           (8.0手目の局面)

 このSを黒に取らせて成Sをb1に戻す(Pronkin)とか、或いはe3に何か遮蔽駒を置いて、白Kを一旦f3迄脱出させるとか、チェックを受ける手段は色々考えられますが、いずれもあと6手では実現不可能です。
 よって白は、9.e8=S!とします。この成Sをg3(f2ではない!)に挟み込むことでチェックを受け、その後この成Sを再びe8に戻して黒Rに取らせるのです。何という巧妙な筋書きでしょう!9.0手目以降の具体的な手順は以下の通り。
9.e8=S Bc5 10.Sd6 Bd4 11.Se4 Qh4+ 12.Sg3 Qe4 13.Sh5 g5 14.Sg7 Sf6 15.Se8 Rxe8

 成SによるRundlauf(これはCeriani-Frolkinにもなっています)というテーマが、実に見事に演出されています。1st Prizeも当然の傑作でした。

(36) Raymond Smullyan (The Chess Mysteries of Sherlock Holmes 1979)

現在白番。castlingとen passantがあったことを示せ。
Monochrome chess  (6+4)

Monochrome Chess:「すべての駒は初形で位置する桝と同色の桝にしか移動できない」という制限を加えたチェスのこと。castlingは0-0のみ可。en passant captureは可能。

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