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L.Ceriani レトロプロブレム傑作選(9)

(9) Luigi Ceriani (Europe Echecs 115 08/1968, 1st Prize)

9 Luigi Ceriani(黒Qが取られたのは最短で何手前か)

        黒Qが取られたのは最短で何手前か? (12+10)

 なくなった駒は、白がRBBPの4枚で、黒がQRRSSPの6枚。また、白側はe3,f3,f4のPで4枚駒取りをしており、更に最終手もQによる駒取りである。これで既に5枚駒取りをしているので、白が取れるのはあと1枚のみ。ということは、白Pa7は駒取りをしていないので、黒側はa,b筋で2枚駒取りをしていることが分かる。
 続いて、2枚の黒Bに着目してみよう。少し考えてみれば、このBが2枚ともオリジナルのBということはあり得ないということが分かる。つまり、これらのうち一枚は成駒である。成ったのはh筋の黒Pだから、成駒なのはb8にいる黒枡Bだということも明らかだろう(g1で成る必要があるから) 。
 双方のPはどれもすぐには戻せないので、この局面に至る最終3手は1.Qf1xBg1+ Bh2-g1 2.Qe2-f1+ということになる。この後の逆算のシナリオは以下のようになる筈だ。

(1)Bh2をf8まで戻す
(2)Kh1をe8まで戻す
(3)Pg7-g6として、Bg8をc8まで連れていく
(4)Pb7xa6と戻してからPa6-a7とする
(5)Bb8をg1に連れて行く

これで白はPg3xf4と戻せるし、黒はPh2xg1=Bと戻すことができるようになる。

 実はこれで「黒Qが原型位置で取られている」ことが証明できているのだが、お分かりだろうか?手順の流れをざっと見ただけだと、途中で例えば黒Qが白Qに取られていても良さそうに見えるのだが、勿論それはあり得ない。その仕掛けは(4)の局面にある。

          (白がPa6-a7と指した局面)

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 上図は成Bをb8に押し込んでから、白がPa6-a7とした局面である。もし黒Qが原型位置にまだあれば、この瞬間黒は手詰まりになってしまう!よって、黒Qはこれより以前に既に取られていたことになる。

           (23...Pb7xRa6と戻した局面)

画像3

 従って、最短で黒Qを戻すには、黒Kをe8ではなくd8で止めておいて、上の局面から24.Ra1-a6 Ke8-d8 25.Pa6-a7 Ba7-b8 26.Sc6-d4 Bd4-a7 27.Sd8-c6 Bf6-d4 28.Sc6xQd8... と戻せばよい。以上より、黒Qが取られたのは少なくとも27.5手前ということになる。

 今回の意味付けは「黒Qが取られてないとretro-stalemateになる」というものだった。同様の意味付けの作品を、もう一つ引用しておこう。

       (9-a) Luigi Ceriani (Europe Echecs 100 04/1967)

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           黒Qの初手は? (12+13)

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