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温故知新(詰パラ430号-02)

 実はこの号で一番面白いのは「解答者パラダイス」だ。なんでも、編集長が穂上さんと犬田に「とにかく12月号を10ページ埋めてくれないか」というイイカゲンな依頼をしたことが発端となってこの企画が出来上がったらしい。まさしく瓢箪から駒だねえ。
 内容はというと、毎月採用された短評数を律儀に数え、総採用数・月間首位・皆勤賞などを調べ上げ、解答番付戦と組み合わせての第1回ベスト解答者の選定。このアイデアがまず素晴らしい(ちなみに、この年のベスト解答者は阪口和男氏だった)。その他にもベスト短評賞(短編賞、中編賞、長編賞がある。短評なのに…)や、作品のない表紙コンクール結果稿、解答用紙の書き方講座、そして編集長穂上氏による編集日誌と盛り沢山。
 これを見てから今の番付戦の発表を見ると、その味気なさに愕然とすること請け合いである。つまり穂上氏と今の編集部では、解答者という存在に対する意識(というか愛情)の差が比較にならない程大きいのだ。でも、これでメシを食っている人の方が素人のやっつけ仕事よりレベルが低いのはおかしいだろ、普通。
 それにしてもこの企画、誰か復活させないかな?(たくぼんさんがやっていたのは知ってるけど、やはり詰パラ本誌で見たい)

 短コンでは、原さんの野心作が目にとまった。

           原亜津夫

(詰パラ 平成3年12月号)

26飛、35玉、25金、同歩、37香、同と、36飛、同と、44角成、同玉、
26馬迄11手詰。

 3手目37香だと45玉で逃れ。打ったばかりの飛を宙ぶらりんにする25金が何ともやりにくい手だ。やや無理作りの感じは否めないが、それでも最後両王手に持ち込むまでの手順には迫力を感じる。

           上田吉一

(詰パラ 平成3年12月号)

26桂、24玉、46角、35飛、13飛成、同玉、35角、12玉、13角成、21玉、22馬、同玉、14桂、イ31玉、33飛、ロ32銀、同飛成、同玉、43銀、31玉、33香、21玉、32銀生、11玉、22桂成、同玉、23銀行成、11玉、21銀成、同玉、32香成、11玉、22成銀迄33手詰。

イ11玉は13香、21玉、23飛以下。
ロ32角は同飛成、同玉、43角以下。
 32金は同飛成、同玉、33香以下。

 最後はデパートの上田作。この駒数なら間違いなく暗算で創作している筈だが、このレベルの作品を暗算でなんて、あと20年作り続けても私には到底無理だなあ。

 あと、フェアリーランドの結果稿において、なかなか面白い発見をした。そこで菊田氏の名言として引用されていたのが、「フェアリーにおける余詰の責任は作者にはない」というもの。まだPCによる全検が不可能だった時代の冗談だが、透明駒については今も一面の真理を言い当てているようにも感じるのは私だけだろうか。

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