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温故知新(詰パラ350号-01)

 今日は詰パラ350号(昭和60年4月号)を読んでみることにしよう。きりのいい記念号だけあって、作品も面白そうなのが目白押しだ。まず学校に目を通すと、大学院にこの頃絶好調だった藤本和氏の大作が載っている。早速引用してみよう。

           藤本 和

(詰パラ 昭和60年4月号、半期賞)

83飛、92玉、93歩、同馬、同飛成、同玉、66角、イ75歩、同角、92玉、
93歩、81玉、71歩成、同玉、
「53角成、ロ81玉、54馬、71玉」
『44馬、62歩、同銀生、81玉、82歩、同玉、73銀生、ハ81玉、45馬、71玉』
『35馬、62歩…36馬、71玉』 
『26馬、62歩…27馬、71玉』 
『17馬、62歩…18馬、71玉』 
72歩、81玉、92歩成、同玉、29馬、同歩成、94香、ニ93角、同香、同玉、66角、75歩、同角、92玉、93歩、81玉、71歩成、同玉、
『53角成、62歩…54馬、71玉』 
『44馬、62歩…45馬、71玉』
『35馬、62歩…36馬、71玉』 
『26馬、62歩…27馬、71玉』 
『17馬、62歩…18馬、71玉』 
 72歩、81玉…29馬、38香、同馬、同歩成、94香、93角…71歩成、同玉、
『53角成、62歩…54馬、71玉』 
『44馬、62歩…45馬、71玉』
『35馬、62歩…36馬、71玉』 
『26馬、62歩…27馬、71玉』 
72歩、81玉…38馬、47香、同馬、同歩成、94香、93角…71歩成、同玉
『53角成、62歩…54馬、71玉』 
『44馬、62歩…45馬、71玉』
『35馬、62歩…36馬、71玉』 
72歩、81玉…47馬、56香、同馬、同歩成、94香、93角…71歩成、同玉
『53角成、62歩…54馬、71玉』 
『44馬、62歩…45馬、71玉』
72歩、81玉…56馬、65歩、同馬、同銀、82銀成、93玉、83桂成、94玉、95歩、同玉、96歩、同金、87桂、同金、96歩、94玉、93成桂、同玉、73龍、94玉、83龍迄301手詰。

イ92玉は83桂成、同玉、84銀成、72玉、76龍、62玉、73龍、52玉、53銀、43玉、44歩、54玉、64龍、45玉、55龍まで。(よって66角は毎回限定)
ロ62歩は同銀、81玉、82歩、同玉、73銀成、93玉、83桂成、同角、同成銀、同玉、84歩、93玉、94歩、同玉、83角、84玉、74角成、94玉、97龍、同桂成、95歩以下。
ハ93玉は71馬、82歩、同銀生、84玉、62馬以下。
ニ81玉は91香成、同玉、83桂、92玉、97龍、同桂成、91桂成以下。

 五月晴れ型連取り+馬鋸という構成の趣向詰。例の手数伸ばしの歩中合が入るのが、当時としては目新しかったに違いない。この歩中合を見落としたのは、解答者22名中実に12名。これに気付いた解答者も、今度は最初の 53角成にまで62歩合をしてしまって沈没(ロの変化参照)。ただ、「最初の一回だけ歩中合が成立しない」というこの落とし穴はややイジワルな気もする。
 普通ならこの趣向における銀不成は「73-62の往復をするため」なのだが、本作の場合は73銀生に別な意味付けが施してあるのも面白い(73銀成だと93玉以下逃れ。逆に、73銀成に対して81玉なら、馬を引いてから72歩を打ち、81玉、92歩成で簡単に詰んでしまう)。
 尚、このプロットは変幻自在と衝突しているらしい。そういう訳で、趣向手順のオリジナリティという点では若干減点しなければならないが、作者の創作力を感じる一局ではある。

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