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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(2)

(2)Gianni Donati (U.S. Problem Bulletin 105/106)

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           Proof Game in 14.0 moves (15+13)

1.Sf3 b5 2.Sd4 Bb7 3.Sxb5 Bf3 4.gxf3 f6 5.Bh3 Kf2 6.Be6+ Kg6 7.Bxg8 e6 8.0-0 Bd6 9.Kg2 Bxh2 10.Sd6 Qe7 11.Sb7 d6 12.Rh1 Sd7 13.Kf1 Rf8 14.Ke1 Qd8

 いつも通り、盤面の手数計算から始めよう。なくなった駒は白がP1枚、黒がBSPの3枚。また、盤面配置を作るのに白は9手、黒は11手かかる(Qd8も動いているのに注意)。f3で取られたのは明らかにc8にいた黒Bで、その後の
(1)白Bf1をh3-e6-g8と動かす
(2)黒Pe7をe6と突く
(3)黒Bf8をh2まで持っていく
というストーリーを考えると、早い段階でd6を突いてBc8をg4-f3と展開するのは不可能であることが分かる。つまり、Bc8はその反対方向、すなわちb7-f3というルートを辿ったのだ。するとその為にはb筋のPを自力で動かす必要があり、これで黒は14手ちょうどになった。b筋のPは白Sに食べられる必要があり(これにより白Sの軌跡も定まる)、また黒Sg8は不動のまま取られたことが分かったので、これで白側の駒取りは全て判明した。
 後は初形から手を動かしてみれば、7.0手まではすんなり進む。問題は、白の余った5手だ。これをKのみで消費しようとすると、Bh2に邪魔されてどうしてもうまく奇数手を消費することができない。しかしここで、キャスリングをした後KとRをスイッチバックさせるのが巧妙な構想(これをanti-castlingという)。「tempoを失うためのキャスリング」というテーマは、かなり希少価値のあるものではないだろうか。

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