私家版・近代将棋図式精選(104)
(216)北川 明
(近代将棋 平成15年1月号)
13銀打、同桂、21角、22玉、23銀成、同玉、14角、同玉、32角成、同金、
24金迄11手詰。
21角と足がかりをつけてからの23銀成が何とも気持ちの良い一手。落ち着いた初形といい、全着手捨駒の構成といい、実によくできた啓蒙作である。
(217)柏川悦夫
(近代将棋 平成15年1月号)
22金、同玉、13歩成、同玉、A14金、22玉、23金、11玉、22金、同玉、
14桂、13玉、25桂、同歩、23金、14玉、33金、24玉、23角成迄19手詰。
A25桂は22玉、14桂、11玉で逃れ。
5手目14金からの手順の意味がすぐには分からず、一見25桂で良さそうに見えるのが本作の値打ち。分かってみれば、14歩を消去するのに金一枚を消費していたのである。玉を呼び出したかと思えば追い落とし、また引っ張り出すという、コミカルタッチの手順が楽しい。
(218)山田修司 「歩の幻想」
(近代将棋 平成15年4月号)
第96期塚田賞
A37角、26桂、16歩、同玉、26飛、同歩、27金、イ同歩生、B28桂、
同歩生、26飛、17玉、29桂、同歩成、27飛、16玉、28桂、同と、
26飛、17玉、18歩、同と、27飛、16玉、17歩、同と、26飛、15玉、
16歩、同と、25飛迄31手詰。
A16歩は同玉、26飛、同玉で以下
・37角は35玉、47桂、44玉、55角、43玉以下逃れ。
・38桂は35玉、53角、44香で逃れ。
イ同歩成は28桂、同と、26飛、15玉、28飛以下。
B26飛は17玉、27飛、18玉、24飛、27歩以下逃れ。
合駒で発生させた桂を奪うところから、奇跡の舞台が幕を開ける。主役は勿論25歩だ。この歩の軌跡に注目して頂きたい。何と、25から29迄直進した後、28-18-17-16と引き戻され、終局まで実に8度も動いているのだ。そして一枚の歩の彷徨が終わる時、この美しい物語もエンディングを迎えることになる。まさしく論理性と叙情性の見事な調和ではないか!
本作においては、構想派としての山田修司と浪漫派の山田修司が完璧な形で一体化している。
(219)細田 強
(近代将棋 平成15年6月号)
41銀、イ31玉、21金、同飛、34飛、ロ41玉、51と、同玉、31飛成、同飛、
52角成迄11手詰。
イ同玉は52角成、32玉、31金、同玉、41飛以下。
ロ22玉は32銀成、13玉、14飛迄。
初手、3手目と筋のいい手が入って、5手目34飛が狙いの限定打。こういうのは意味付けがシンプルなほど良い。最後は邪魔になった飛を捨て去って幕となる。ベテランの巧さが光る一局。
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