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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(38)

(38)Gianni Donati(Messigny 05/2005)

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           Proof Game in 10.5 (15+12)

1.e4 Sf6 2.Bb5 Sd5 3.Bc6 dxc6 4.Ke2 Bg4+ 5.Kd3 e6 6.Qxg4 Ba3 7.xa3 Kd7 8.Bb2 Se7 9.Bxg7 Sg8 10.Bh6 Qf6 11.Qxg8

 白は盤面配置を作るのに9手かかる。また取られた駒はBで、これをc6に持っていくのに2手かかるから、白の手はこれで尽きている。一方黒側の取られた駒はBBSPの4枚で、このうちSとPは初形位置から動かずともそれぞれ白QとBが取ってくれそうだ。残りはB2枚だが、そのうち1枚はa3で取られていて、残りの1枚はg4に出てくればこれも白Qが処理してくれる筈。では、この図の何が問題なのだろう?
 そう訝しみながら実際に手を進めてみると、作者の設定した謎はすぐに見えてくる。白の序はe4-Bb5-Bc6しかないが、これをdxc6と取られた後、4.Ke2 Bg4+とすると、このままでは5.Kd3が指せないのだ。もっとも、これを解決するのは簡単で、d筋に何か黒駒を挟み込めばよい。これがSであることはほぼ明らかで、そのSが結局g8に戻って取られる(Rundlauf with S for screening)という理想的なストーリーも容易に想像できるものだ。
 技術的な面を言うと、白Bをb2-g7-h6と大きく展開することで黒S/Qの動きを制御できているのが実に巧い。流石はDonatiだ。

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