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L.Ceriani レトロプロブレム傑作選(18)

(18)Luigi Ceriani (Europe Echecs 109 02/1968,5th Prize)

局面をほぐせ (11+15)

 なくなった駒は白がSSPPPの5枚で、黒はP1枚のみ。白側の駒取りはg筋でのPによるもので尽きている。よってb7,c7の白Pはいずれも直進しており、b,c筋の黒Pがcross captureしていることが分かる。黒Pe5も1枚駒取りをしており、更にa,f筋の白Pも取られている。(d筋の白PはBに成ったのだ)これより黒の駒取りも尽きており、h筋の黒Pは成っていることが分かる。
 この黒PがSに成ったことも明らか。従って、黒Sb6をh1まで連れて行ってunpromotionし(白の手詰まりを防ぐ為、その途中でd,f筋の白Pも戻し)、Ph6xg7と戻すことで右上の膠着状態をほぐすのが目標となる。
 では、このシナリオ通りに逆算してみよう。すると、どうなるか?

1...Sc4-b6 2.Pb6-b7+ Sa5-c4 3.Pe3-e4 Sc4xPa5 4.Pe2-e3 Se3-c4 5.Pa4-a5 Sf5-e3 6.Pa3-a4 Sg3xPf5 7.Pa2-a3 Sh1-g3 8.Pf4-f5 h2-h1=S 9.Pf3-f4 Ph3-h2 10.Pf2-f3 Ph4-h3 11.Pg4-g5 Ph5-h4 12.Pg3-g4 Ph7-h6 ???

           (失敗図)

 このように、白はretro-stalemateに陥ってしまう。(Bをf1に格納する必要があるので、Pg2-g3とは戻せない)どこが不味かったのだろうか?もしここで黒Bh7がg8に居れば、これで逆算が成功しているのだが...。
 この逆算手順自体は間違ってはいない。となると、この手順に入る前に白は黒に1手の猶予を与える必要があるのだ。このことにさえ気付けば、序の伏線工作の発見は容易だろう。

1...Sc4-b6+ 2.Pb6-b7+ Sa5-c4 3.Pe3-e4 Sb7-a5! 4.Qc8-b8 Sb8-d7
5.Qd7-c8 Bg8-h7 6.Qc8-d7 Sa5-b7 7.Qd7-c8+ Sc4xPa5

           (図1)

 このようにして白Qと黒Sの位置を交換することで、黒はBh7を動かすことができる。後は当初の予定通り逆算すればよい。

8.Pe2-e3 Se3-c4 9.Pa4-a5 Sf5-e3 10.Pa3-a4 Sg3xPf5 11.Pa2-a3 Sh1-g3 12.Pf4-f5 h2-h1=S 13.Pf3-f4 Ph3-h2 14.Pf2-f3 Ph4-h3 15.Pg4-g5 Ph5-h4 16.Pg3-g4 Ph7-h5! 17.Pg6xSg7

           (図2)

 これでもう主題の部分は解明できたのだが、完全にほぐすにはもう少し時間がかかる。具体的には、以下のようにすればよい。

17...Sf5-g7 18.Ph5-h6 Se3-f5 19.Ph4-h5 Sc4-e3 20.Ph3-h4 Sa5-c4 21.Ph2-h3 Sb7-a5 22.Qc8-d7...

 この後はRg7-f7, Bf7-g8, Rg8-g7, Pg7-g6の順に戻してBg8を外に出し、それからPf7-f6としてRe6を解放すればよい。

           (図3)


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