温故知新(詰パラ454号)
今日読んでいるのは詰パラ454号(平成6年1月号)。この号から、初心者にも優しい雑誌を目指し、徐々に制度改革が始まっているのが目につく。その一つが学校制度の変更だ。巷の「幼稚園が難しくて解く気がしない」という声を耳にして、この号から幼稚園と小学校がいずれも3~7手という手数区分に変わり、幼稚園は一般向け、小学校はマニア向けというように振り分けたのだが、果たしてこれ、どの程度普及に効果があったのだろうか?
「図巧第一番」、「新扇詰」、そして「父帰る」。幾多の詰キストをこの道に引きずり込んだ名作・傑作は、どれもすぐに解けるような代物ではない。散々頭を悩まし、解答を見て手順の意味を理解したときに初めて、ガツンと殴られるような衝撃を与えるような作品ばかりだ。人が詰将棋の魅力に憑りつかれるのは、決して「誰にでも解ける3手詰」が解けたからではないのだ。
では、この号から始まった短期段位認定(これも制度改革の一環だろう)で出題された問題から2問紹介しよう。
関 半治
14金、同玉、23銀、15玉、33角、同馬、24銀、イ同飛、26金打、同飛、
同金、24玉、25飛、13玉、14銀成、同玉、15金、13玉、22飛成、同馬、
24金迄21手詰。
イ16玉は27金打以下。
終始2筋の香の利きが強くて、玉の行動範囲は限られている。普通に考えると紛れ不足で単調な展開になりそうなものだが、そこはベテラン。捨駒主体に手順を構成して、最後は清涼詰。流石は関さんだと感心せざるを得ない。
水上 仁
A22銀、同玉、33角成、21玉、43馬、イ32桂、同馬、同玉、33金、
21玉、13桂、同香、22金、同玉、42飛成、32飛、33桂成、11玉、
12歩、同飛、同龍、同玉、32飛、11玉、22飛成迄25手詰。
A33角成は22桂で逃れ。
A51飛成は21桂で逃れ。
イ32歩は同馬、同玉、33桂成以下。
33角成から43馬と歩頭によろける手が、何とも味わい深く、また9手目桂ではなく金で行くところ(一種の金先金桂か?)も一寸面白い。後半は既成手順だが、美しい初形の佇まいと序のインパクトで十分作品たりえている。
あと一作は短大から。
宗岡博之
43飛成、イ33銀、25桂、12玉、32龍、ロ22角、同飛成、同銀、13歩、
11玉、22龍、同玉、33銀、31玉、53角、21玉、12歩成、同玉、13桂成、
同玉、31角成、23玉、22馬迄23手詰。
イ33角は同龍、同歩、31角以下。
ロ22歩は13桂成、同玉、33龍以下。
これ以上手の加えようがない、まさに完成品。作者の言葉によると「22角のところからの正算と逆算」なんだそうだが、それでこの初形と収束に辿り着くのだから大したものだ。本作は、たゆまぬ努力を続ける作家に対する神様からの御褒美のようなものなのだろう。
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