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温故知新(詰パラ350号-02)

 今日は350号記念として出題された2作のうち、相馬康幸氏の「風神」を紹介しよう。

           相馬康幸「風神」

(詰パラ 昭和60年4月号)

57龍、76玉、77龍、85玉、86龍、74玉、83龍、75玉、A84龍、66玉、
67歩、76玉、86龍、67玉、77龍、58玉、78龍、68と、同龍、49玉、
69龍、38玉、58龍、39玉、28龍、49玉、29龍、58玉、38龍、67玉、
「68龍、76玉、77龍、85玉、86龍…13龍、25玉、16龍、24玉、25歩、23玉、13龍…38龍、67玉」

          (84手目の局面)

 まずは普通に盤面を整理していくが、18手目の68とが「新扇詰」を思わせる2手伸ばし。勿論この作者のことだから、奥園幸雄に対するリスペクトの心算だろう。尚、Aで86龍以下先に上部の歩を消去してしまうと、78龍に対して68歩で不詰になってしまう。
 この後は定跡通り、左上の配置を順番に剥がしていく。

「68龍、76玉、77龍…71龍、32玉、31龍…38龍、67玉」
「68龍、76玉、77龍…81龍、32玉、31龍…38龍、67玉」
「68龍、76玉、77龍…82龍、32玉、31龍…38龍、67玉」
「68龍、76玉、77龍…92龍、32玉、31龍…38龍、67玉」
「68龍、76玉、77龍…93龍、32玉、31龍…38龍、67玉」

          (354手目の局面)

 桂が2枚手に入ったので、やっと左下のと金剥がしに取り掛かることが出来る。

「79桂、イ同と、68龍…68龍、49玉、79龍…38龍、67玉」
「68龍、76玉、77龍…84龍、76玉、88桂、同と、86龍…88龍…38龍、
 67玉」
「68龍、76玉、77龍…86龍、67玉、97龍…38龍、67玉」
 68龍、76玉、77龍…84龍、76玉、88桂、66玉、67歩、同玉、87龍、
 58玉、78龍、49玉、69龍、38玉、58龍、39玉、28龍、49玉、29龍、
 58玉、38龍、67玉、68龍迄589手詰。

イ66玉は68龍、75玉、77龍、76金、87桂打、85玉、76龍、同玉、
75金、66玉、64飛、同と、67香迄。

          (詰上がり図)

手順表記では省略したが、左下の駒を取る際に龍が玉から遠い為に、79龍の王手に対して58玉という手数伸ばしが成立している。
 最後、97桂を入手して88に打つことでようやく収束する。総手数実に589手。置駒消去という一番原始的な手法で「寿」に迫る長手数を実現するとは凄いとしか言いようがない。
 ただ、本作はCollectionには収録されていない。やはり、これと対になる「雷神」が未完成だからだろうか?

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