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温故知新(詰パラ307号)

 今日は詰パラ307号(昭和56年9月号)を読んでみよう。学校に目を通すと、大学に添川氏のセンスの良い軽趣向が載っている。早速引用してみよう。

           山葉 桂

(詰パラ 昭和56年9月号)

16香、15桂、同角成、13玉、33馬、14桂、同香、同玉、16香、15桂、
同馬、13玉、33馬、14銀、同香、同玉、16香、15銀、同馬、13玉、
25桂、同と、22銀、同玉、34桂、12玉、13銀、21玉、22桂成、同馬、
同銀成、同玉、34桂、21玉、32角、同玉、42馬、21玉、43馬、32金、
22歩、31玉、42桂成、同金、21歩成迄45手詰。

 趣向手順中の合駒は完全限定。例えば2手目銀合をすると同角成、13玉、33馬、14桂、22銀、同馬、14香、同玉、16香以下。この順に入るのを避けるためには作意順のように合をするしかないことを、各自ご確認頂きたい。趣向自体はありふれたものだが、舞台装置を巧みに使って収束まで纏める技術は既に一級品。流石である。

 また、大学院には大西宏明氏の「大都会」が載っている。これも引用しておこう。

           大西宏明 「大都会」

(詰パラ 昭和56年9月号)

98と、同玉、97と、99玉、98と、同玉、94龍、89玉、88と、同玉、
87と、89玉、88と、同玉、78と、89玉、85龍、78玉、68金引、79玉、
69金、同玉、89龍、79金、59金、同玉、79龍、48玉、58金、同玉、
49角、57玉、77龍、48玉、68龍、49玉、38銀、39玉、59龍、38玉、
29角、28玉、27金、同玉、26飛、17玉、16飛、同玉、56龍、25玉、
24と、35玉、46龍、24玉、26龍、13玉、15龍、23玉、33歩成、同玉、
32桂成、34玉、33成桂、同玉、43香成、同玉、42桂成、44玉、54銀成、    同玉、53と、同玉、55龍、42玉、44龍、31玉、33龍、41玉、51と、同玉、61香成、41玉、51成香、同玉、62と、41玉、52と、同玉、63歩成、41玉、52と、同玉、63香成、41玉、52成香、同玉、74角、62玉、63龍、71玉、   81と、同玉、91香成、71玉、81成香、同玉、61龍、82玉、62龍、93玉、  73龍、94玉、83龍、95玉、85龍迄115手詰。

 全駒無防備煙の実質的一号局。確か「帰去来」の結果稿で伊藤氏が仰っていた事だが、駒場氏の「三十六人斬り」は作者名、不要駒、それに変長などが絡み合って一種異様な迫力を醸し出していた。対照的に本作はキズも不要駒もないが、淡々と展開されていて手順としての見せ場に欠けるような気がしないでもない。
 ただ、全駒無防備煙が未だに創作困難な条件作の一つであることを思えば、些細な欠点をあげつらうより、こういった究極の条件作の一つに挑戦し見事にそれを成し遂げた作者を讃えるべきなのだろう。

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