第3回透明駒解答選手権(解答・解説)後編

           6 高坂 研

6 強欲協力詰 3手(透明駒2+1)余詰

           強欲協力詰 3手(透明駒2+1)
          *作意不成立(不詰)

98角、31玉、32金迄3手詰。

☆まずは、43角、31玉、32金という手順を想定してみましょう。このとき、3手目21角成とせずに金を打つ為には、角がピンされている必要があります。しかし、この場合、33に透明飛がいるとすれば、最終手を取られてしまいます。

           (失敗図)

(2-8-3)強欲協力詰 3手(失敗図)

           *太枠は、透明駒がいる枡を表す

☆これと同様の逃れ筋は、角の打ち場所を54、65…としても成立しますが、98角と最遠打したときだけは事情が異なります。というのは、このときだけ、横方向からピンすることが不可能となるからです!

(詰め上がり図)

6 強欲協力詰 3手(透明駒2+1)詰め上がり


☆ちなみに、2手目31玉は「初形で31に先手の透明駒がいた」と考えると正当化できます(だから、透明駒2+1なのです)。
tsumegaeru-3手詰で持駒2枚なので、考えやすかったです。31に透明駒があれば、2手目31玉と出来ることにしばらく気付きませんでした。
青木裕一-取れる21歩が目に入らなくて、悩んだ。
茶園伸吾-初手43角にハマり、かなり考えました。2手目透明駒取りに気付けばすんなり。
たくぼん-強欲は専門なので頑張りました。98以外だと横のピンがあるんですね。奥が深いです。
太刀岡甫-飛車を消すための遠打が面白い。
☆しかし、茶園氏より「透明駒が14玉/41角の可能性あり」との指摘が…。つまり、出題図は作意不詰だった訳です。どうもスミマセン。茶園氏以外の被害者が殆どいなかったようなのが、せめてもの救いか。
☆42歩を攻方の駒にして修正図とします。これなら3手目32金はillegalになる筈。

          (修正図)

6 強欲協力詰 3手(透明駒2+1)修正図

           強欲協力詰 3手(透明駒2+1)
          *作意不変

           7 高坂 研

7 禁欲協力詰 3手(透明駒0+35)

           禁欲協力詰 3手(透明駒0+35)

91角、同X、28銀打迄3手詰。

☆序の2手のやりとりにより、盤上の玉方透明駒が28-82を結ぶ線上に利きを持たないこと、及び18・29が玉方透明駒で埋まっていることが分かります。更に、2手目に91角を取った透明駒は馬ではありえない(もしそうだとすると、その馬は81か92にいますが、82に移動合できるので91同馬がillegal)ので、これで詰。
神在月生-馬ならば 移動合にて 禁欲手
tsumegaeru-3手詰で持駒2枚なので、考えやすかったです。透明駒0+35という派手な設定が気に入りました。
太刀岡甫-強力なお掃除手筋。全駒である必要があるのかはよくわかりませんでした。
☆実際は透明駒を24枚まで減らすことが出来ます。
青木裕一-35枚の配置は読んでないけど、多分こんなところ?
たくぼん-時間が無いので全ては読んでいませんが、これしかないように思えます。
まゆしぃ-91角が一番ありそうな王手とは思ったが、意味を理解するのに苦労した。着眼点が斬新。

           8 上谷直希

8 上谷直希 マドラシ協力詰 3手(透明駒1+2)

           マドラシ協力詰 3手(透明駒1+2)
          *余詰

18金、同X、29桂迄3手詰。

☆2手目は18桂成です。これを放置できることから28に攻方の、そして37(38)に玉方の透明成桂が浮かび上がってきます。
青木裕一-これも一瞬で解けた。作者との相性?
☆しかし、これにも18金、同X、X迄(茶園さん指摘)という余詰がありました。作者からは、27香→ととする修正案を頂いております。

          (修正図)

8 上谷直希 マドラシ協力詰 3手(透明駒1+2)修正図

           マドラシ協力詰 3手(透明駒1+2)
          *作意不変

☆尚、38金、X、29桂迄3手という解答もありましたが、これは出題図で39に先手透明馬、38に後手透明馬、そして47に後手透明桂があり、38金、39桂成と進んだ可能性があり、詰んでいません。

           9 高坂 研

9 マドラシ協力詰 3手(透明駒2+0)

           マドラシ協力詰 3手(透明駒2+0)

X、45飛、63飛成迄3手詰。

☆「一見マドラシ状態なのに動けることで、透明駒の存在を主張できる」ということに気付いたのが創作のきっかけ。結構難問だったようです。
NZ-マドラシだと動けることで透明駒の存在を証明できるんですね。
まゆしぃ-2手目に合駒をする意味が見出せずに苦労した。
太刀岡甫-なんでマドラシなのに先手の透明駒しかないのだろう、というのが解くヒント。
たくぼん-これは見事に解けませんでした。筋らしい筋も思い浮かばず。完敗です。


          10 高坂 研

10 点鏡協力自玉詰(4手 透明駒1+1)

          点鏡協力自玉詰 4手(透明駒1+1)

X、36銀右(X=74玉、75玉)、65玉、45銀寄迄4手詰。

☆双方とも玉が透明化していることに絶望感を覚えたかもしれませんが(笑)、実はロジカルに解ける作です。
☆まず、先手玉で王手をかけなければならないことから、後手玉は銀の性能になっている必要があり、ここから後手玉の位置は65・75のどちらかに限られます。
初手はこの銀の利きになっている玉に対して、横か後ろから玉で王手をかけるしかなく、その可能性は
①65玉に対して55玉
②65玉に対して64玉
③75玉に対して74玉
④75玉に対して85玉
の4通りしかありません。
☆しかし①だと、直前の先手玉の位置がありません。また、3手目にも玉で玉に王手をかけるためには2手目に後手玉が本来の利きに戻ってしまってはいけません。従って、2手目は後手玉を銀の利きにしたまま先手玉を銀の利きにすることにより王を解除する必要があります。そうすると、④もダメですね。
☆②の場合、2手目は46銀左ということになりますが、すると3手目は自動的に75玉となり、後1手では詰みません。従って②も不可能であり、残るは③のみということになります。
☆③なら2手目36銀右とすれば、3手目65玉が再び王手となり、4手目45銀寄!とすれば、75玉の利きが復活して詰となります。
NZ-手が限られていたので読みやすかったです。
茶園伸吾-見慣れない符号。
たくぼん-これは王探しですね。最終手が見えにくかったです。
太刀岡甫-利きが入り乱れて頭がこんがらがる。パズルみたいで楽しい。

総評など

風みどり-透明駒だけでほとんどお腹一杯なのに、さらにはじめて解くルールが追加されているなんて!
☆初めての割には、随分解けたじゃないですか。敢闘賞を差し上げます(笑)。
まゆしぃ-今回はいつもより苦戦してあまり解けませんでしたが、いろいろなルールがあって楽しめました。
☆まゆしぃさんは皆勤賞ですね。いつも有難うございます!
たくぼん-時間が出来たので挑戦してみました。フェアリーは経験が多いと思うのですが透明駒は3手でもなかなか手ごわいですね。十分楽しませて頂きました。第4回も期待しています。
☆開催できるかどうかは分かりませんが、善処します(←お役所言葉)。
NZ-今回も楽しませていただきました。慣れないルールが多い割には解けた方だと思っています。解けなかった問題を考えつつ、成績発表を楽しみにさせていただきます。ありがとうございました。
☆9番、10番が解けたのは、自慢して良いと思いますよ!
神在月生-やはり多くが残ってしまった。ただ、解けそうだと感じるものもあるので、続けて考えてみます。なお、短評は川柳形式にしてみました。
☆次回は狂歌形式でお願いします(笑)。


解答成績発表

 ではお待ちかね、解答成績発表に参りましょう。今回の成績と順位は以下の通りです。

第3回透明駒解答選手権 解答成績一覧

ご覧の通り、今回は全題正解した上に余詰2作と不詰1作をすべて指摘し、ボーナスポイント30点を獲得された茶園さんがぶっちぎりの優勝です!何も賞品はありませんが、茶園さんには「第3期透明駒解答王」を名乗る権利が与えられます(笑)。尚、太刀岡君は「透明駒入門」のスタッフのため、参考記録とさせて頂きました。

解答に参加して頂いた人数は11名と、前回から半減(泣)。しかし参加者の平均点は68.18点と、前回を更に9点近く上回りました。ただ、透明駒の普及という観点からすると、次回はまたフェアリールールなしのものに戻った方が良さそうですね。
 ではみなさん、今度は第4回透明駒解答選手権でお会いしましょう!


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