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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(10)

(10)Gianni Donati (Problem Paradise 17, 01-03/2000)

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           Proof Game in 23.5 moves (15+14)

1.d4 Sa6 2.Be3 Sc5 3.xc5 Sf6 4.Qd6 Sd5 5.Qe6 Sb6 6.xb6 f5 7.Bc5 f4 8.e3 f3 9.Bb5 xg2 10.Sf3 g1=S 11.c4 Se2 12.Sc3 Sd4 13.Rd1 Sc6 14.Rd6 Sb8 15.Rc6 d5 16.0-0 d4 17.Kg2 d3 18.Sd4 d2 19.f4 d1=S 20.f5 Sf2 21.f6 Sg4 22.Rf4 Sh6 23.Re4 Sg8 24.f7#

 盤面配置にかかる手数は白が24手ちょうど。白がcastlingをしていること、そしてPb6はd4-xc5-xb6と2度駒取りをしていることが、手数計算だけからすぐに分かる。ということは白Pf7は駒取りをしていないので、白のPg2は原形位置で取られていること、それに黒のd/f筋のPは2枚とも成っていることまで判明した。
 更に、序盤の展開を考えてみよう。白は早めにd筋のPをb6まで運んでおかないと後がつかえてしまう。つまり、白はPxb6の後、Bc5-e3-Bb5-c4-Sc3-Rd1-Rd6-Rc6という展開が容易に予想できる。白がRをc6に据えるまでは黒もd筋のPを出す訳には行かず、そうなると、d筋の白Pに食わせる黒駒は2枚ともSであることが決定する。ここまで推論を重ねることで、黒Sのdouble Pronkinというテーマが姿を現す。ここまでくれば、実際の手順を求めるのは極めて容易だろう。
 作りようによっては紛れの多い難解作にもなりそうなテーマだが、平明な論理の積み重ねだけでSという制御し難い駒を操っているところに、逆に作者の高度な手腕を感じる。

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