私家版・近代将棋図式精選(76)
(146)柏川悦夫
(近代将棋 平成4年6月号)
第79期塚田賞短編賞
26桂、同銀、24飛、同玉、35龍、同銀、33馬、14玉、17香、同桂成、
26桂、同銀、15歩、同銀、23馬迄15手詰。
5手目を省くと、17香、同銀生、26桂、同銀成で打歩詰。龍を捨てておけば、この同銀成が回避できるという訳。ともすれば理屈が先行して頭でっかちになりがちな打歩構想だが、35龍の捨て味と15銀のスイッチバックが本作に短編詰将棋としての潤いと気品を与えている。
(147)林 雄一
(近代将棋 平成4年6月号)
第79期塚田賞中編賞
45香、イ同桂、54金、同龍、53金、同玉、33飛成、43馬、54香、同玉、
66桂、同香、46桂、同と、64飛、55玉、44龍、同馬、65馬迄19手詰。
(詰上がり図)
イ同龍は55桂、54玉、66桂、同香、64金、44玉、43金以下。
玉の行動範囲は狭いが44龍と61馬が要所に利いている。手の掛け方に迷うが、45を埋めてから54金-53金とするのが巧い絡み方だ。玉方も馬の移動合で抵抗するが、後は桂捨ての順序さえ間違わなければ詰めるのは容易だろう。詰上がりにはくっきりと「H」の文字が浮かび上がる。恐らくは氏のイニシャルなのではなかろうか。
(148)関 半治
(近代将棋 平成4年7月号)
28桂、同銀生、48桂、37玉、57角、26玉、37飛成、同玉、36金、同と、
56桂迄11手詰。
いかにも企みのありそうな初形だが、まずは28桂から48桂と筋悪く角道を止めておく。それから角を開き王手で限定移動し、飛、金と捨てて最後は桂をそっぽに跳ねて幕。典型的な現代風短編という感じ。
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