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温故知新(詰パラ436号)

 今日読んでいるのは詰パラ436号(平成4年6月号)。読んでいると、その前の月に百石で開催された全国大会の記事が目に留まる。ああ、もうあれから30年もたつのか…。
 以下に引用する2作は、いずれも全国大会にて発表された作品である。

           高坂 研・相馬慎一

(詰パラ 平成4年6月号、握り詰首位作)

79香、87玉、77龍、96玉、97歩、同馬、85銀、同玉、76龍、95玉、96歩、同馬、84銀、同玉、75龍、73玉、94歩、同玉、95歩、同馬、83銀、同玉、74龍、82玉、83歩、93玉、94歩、同馬、92金、同玉、94龍、93飛、82歩成、同玉、71角、81玉、82歩、92玉、93龍、同玉、81歩成、84玉、62角成、85玉、83飛、96玉、97歩、同玉、53馬、98玉、54馬、99玉、55馬、98玉、88馬迄55手詰。

 私と相馬君の、最初で最後の合作。といっても、趣向部をこちらが思いついただけで、後は序も収束も彼任せ。変化紛れが悉く割り切れてくれたのは、彼の手腕以外の何物でもない。
 佐々木聡氏が故大山十五世に両手で握ってくれるよう頼んだお蔭で、使用駒は何と18枚!ここまで多くなくても、せめて10枚程度はないと、今だとPCによる検索コンクールになってしまうんじゃないかなあ。

           若島 正

(詰パラ 平成4年6月号)

39香、35銀、同香、23玉、33香成、14玉、24銀成、同玉、13角成、同玉、35馬、24飛、15香、14桂、22銀、12玉、14香、同飛、13馬、同飛、24桂迄21手詰。

 使用駒8枚、4段目までの配置で初手39香!その後も構想を成立させる為の無理など微塵も感じさせずに、収束までぴったり決めてみせる。これぞ若島流といった感じの中編だ。

 それから、上田さんによる覆面駒のパズルが出題されているので、これは是非紹介しておきたい。ルールは以下の通りだ。

①出題図における覆面駒の正体は、後手の歩香桂銀金角飛玉のいずれか(成駒はなし)。
②出題図で、先手玉には王手がかかっていない。
③先手のみ指定された手数だけ連続で玉を動かし(後手が覆面駒を動かすことはない)、覆面駒の正体を全て判明させる。尚、途中で覆面駒を取ってはならない。

 では、どうやって覆面駒を確定させるのか。それには「手順の合法性」を用いるのである。

(●は後手の覆面駒とする)

例えば上図で、先手玉が13へ移動したとする。するとこの着手が合法、即ち「わざと敵の利きに入る手ではない」ということから、12の覆面駒は角ということになる(「出題図で王手がかかっていない」という仮定より、桂の可能性はない)。
 同様に、24玉が34に動いた場合は33の覆面駒が桂だったことが示される。お分かり頂けただろうか?
 ここで使われているロジックの面白い点は、「手順が配置を決定する」という点だ。覆面駒の正体が何か、それは予め決まっているのではなく手順によって決定されるのである。

           上田吉一

12手(詰パラ 平成4年6月号)

           上田吉一

13手 (詰パラ 平成4年6月号)

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