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私家版・近代将棋図式精選(111)

           (233)中島久雄

233 中島久雄

          (近代将棋 平成19年4月号)
           第100期塚田賞

35銀、36玉、44銀、イ26玉、35馬、15玉、24馬、26玉、35銀、36玉、
48桂、同と、46銀、ロ26玉、37銀、16玉、17歩、同玉、28銀、同と、
35馬、同金、14飛、26玉、16飛迄25手詰。

イ35合は同飛、46玉、45飛、56玉、47馬、67玉、79桂、77玉、78歩、
 同玉、56馬以下。
ロ35合は45銀以下。

 3手目すぐに48桂とすると以下同と、46銀、26玉と進むが、それから15香を消そうとしても24馬に対し16玉とされて逃れ。この香は持駒に桂があるうちに消さなければならないのだ。そこで一旦44銀と退避し、香を消去してから改めて48桂-46銀と展開する。その後もこの銀を37-28と活用し、最後は香を消した効果で14飛が実現して詰となる。銀の運用が非常に印象的な好作。


           (234)石本 仰

234 石本 仰

          (近代将棋 平成19年5月号)

 35金、イ同玉、26銀、ロ同玉、35角、同玉、37龍、44玉、34龍、
 55玉、54龍、46玉、66龍、37玉、34龍、48玉、
「39龍、58玉、69龍引、57玉、59龍右、46玉、66龍、35玉、
 39龍、44玉、33龍、54玉、63銀生、同と、同龍寄、44玉、
 33龍、54玉、81角成、72歩、 63龍上、55玉、53龍右、46玉、
 66龍、37玉、33龍、48玉」
「39龍…59龍右、46玉、82馬、ハ73歩、66龍…33龍、54玉、81馬、
 72桂、同馬、同香、63龍上、55玉…48玉」
「39龍…39龍、44玉、56桂、53玉、54歩、52玉、44桂、43玉、
 33龍…48玉」
 38龍、59玉、57龍、69玉、49龍、78玉、87龍、同玉、89龍、88桂成、
 77金、96玉、99龍、98香、同龍、同成桂、88桂、同成桂、97香迄
 115手詰。

イ35同角は39龍寄、46玉、45と、同玉、47龍、46歩、35龍、同玉、
 24角、34玉、36龍以下。
ロ44玉は35銀、同玉、37龍、36合、24角、44玉、33角成、53玉、54歩、
 52玉、53歩成、同玉、58龍以下。
ハ64歩は66龍、35玉、39龍、44玉、33龍以下。
ハ73桂は66龍、35玉、39龍、44玉、33龍、54玉、63龍寄、44玉、74龍、
 54歩、55金、35玉、24銀、同玉、54龍、34香、同龍、同玉、36香、
 35角、同香、同玉、44角、24玉、33角成、35玉、45金、同玉、55馬、
 34玉、36香以下。

 二枚龍による知恵の輪という、若手作家ならではの意欲作。普通だったら持て余してしまいそうな素材だが、そこは力のある石本氏だけあって破綻なく纏め上げている。特に局面を展開する為の鍵になる手の意味付けは凝っていて、ミニ馬鋸を駆使して桂を入手し44に配置するのは、収束の89龍に対して88角!と逆王手されるのを防ぐ為。普通だったらこの桂は収束に使うか、また別な駒を入手するのに使うところだろうが、そんなありきたりなキー設定にしないところに氏の非凡さが垣間見える。また、途中82馬のところで欲張って91馬としてしまうと、収束の99龍に対して98歩合とされて逃れ。このあたりも解答者心理を旨く織り込んであると見るのは穿ち過ぎか。

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