見出し画像

プロパラを振り返る(161)

 今日読んでいるのはプロパラ77号(January-March 2017)。ヘルプとばか詰を合わせて3題紹介しよう。

(312)Michel Caillaud(Problem Paradise 77, 2017)

画像1

           H#3.5 2sols.(3+7)

1...Bg2 2.Rd5 Re3 3.Kc6 Rf3 4.Rd6 Rc3#
1...Re1 2.Qe5 Bf3 3.Ke6 Be2 4.Qd6 Bc4#

 手順中にバッテリーを組む、所謂Indian theme。勿論これは最短3.0手で表現可能だが、敢えて0.5手伸ばすことで、相互にラインを開閉する構成になっているのが作者の工夫か。


(313)Igor Vereshchagin, Andrey Frolkin(Problem Paradise 77, 2017)

画像2

           H#2 (6+16)
           Disguised Kings

1.Bf1 Se6 2.0-0 Sd4#

Disguised King:黒駒のうちの一つがRoyal pieceであり(Kの可能性もある)、これを"Disguised King"と呼ぶ。初形局面において、どの駒がDisguised Kingであるかは分からない。(以下ではDisguised KingのことをDKと略記する)

(1)もしKがDKでなければ、取られてもよい。
(2)PはKに成ることはできない。
(3)もしPがDKであり、アンパサンで取られる可能性があるときには、 ダブルステップはできない。
(4)もしKまたはRがDKで、DKに対してチェックがかかっていたり、DKの通過するマスに敵の駒の利きがあったりした場合は、キャスリングはできない。
 以上の条件を白にも適用した時には"Disguised Kings"と表記する。

 7th Japanese Sake Tourney Award(2007)のお題だったDisguised Kings。レトロとの相性も良く、なかなか面白いルールだと思う。では早速、何故この作意順で詰だと言えるのか、手順を解析していこう。

 まず、1.Bf1 Se6というやりとりから、初形の白Sf8、それに黒Bh3はDKではないことが分かる。続いて2.0-0とできることから、白Sにより取りをかけられた黒のRc5,Bc7,Sd8,Sf4,Qg5,Pg7、それにKe8とRh8もDKではないことが一遍に判明する。つまりこの時点で、黒のDKの可能性はb-f筋にある7枚の黒Pのいずれかに絞られたことになる。従って、2...Sd4とすれば、どのPがDKだったにしても詰み。明快なロジックだ。

 欲を言えば、折角"Disguised Kings"にしているのだから、白のDKも決定できるような構成にして欲しかったが…。それから、Frolkinが作者にもかかわらず、全くレトロ色がないのはやや残念。それでも、このルール特有の面白さがシンプルに表現できている作だと思う。


(314)佐藤一郎(Problem Paradise 77, 2017)

314 佐藤一郎(ばか詰 9手)

           ばか詰 9手

64馬、56玉、74馬、65金、57歩、55玉、56歩、同金、65馬迄9手詰。

 金を合駒で発生させて遮蔽駒として利用することにより、初手では角に取られてしまう65馬が9手目には成立する。作者はUmnovを表現したかったらしいが、最終3手の感触には短編作家としてのセンスがしっかり感じられる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?