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L.Ceriani レトロプロブレム傑作選(13)

(13) Luigi Ceriani (Europe Echecs 55-56 07/1963)

初形配置の白Bc1はどこで取られたか?(12+14)

 白のなくなった駒はBBPPの4枚で、黒のなくなった駒はRRの2枚。白Pによる駒取りがe筋で、黒Pによる駒取りがd,f筋であったことは明らか(勿論最終手はPg5xf4+だ)だが、白Ph5が直進していることより、黒Pがg-h筋で更に2枚駒取りをしていることが分かる。よって、これで黒の駒取りは尽きている。このことからa筋の白Pが成っていることも分かり、これも1枚駒取りをしているので、白の駒取りもこれで尽きている。
 ここでc筋の白Pが成っていることにお気づきだろうか。この白Pはc8で成った後どこかで黒Pに取られたのだが、それはf4ではあり得ない。というのは、黒がPc6xd5と指した直後、白Pはc5にいたとしよう。これがc8で成ってからf4に行くにはS成しかなく、8手もかかってしまう(QやRだと、黒Kにチェックがかかり、Bではf4に行くことができない)。ところが、その間いくら黒がab筋の黒Pを使ったとしても4手しか待てないからだ。ということは、この成駒を取ったのは黒Ph3ということになる。では、例えば以下のような局面を想定すればよいのか?

           (失敗図)

 この局面から1.Bh3 Pxh3 2.Pg4 Pb4 3.Kg3 Pb3 4.Bf4 Pgxf4+と進めば良さそうだが、そう簡単な話ではない。というのは、この成Bをc8まで戻す前に、黒の逆算手が尽きてしまうからだ。この辺で「黒の待ち手をどうするか」という問題の解決が重要であることが徐々に分かってくる。そしてこの解決に黒Rが使えることが閃けば、もう正解は目の前だ。

           (図1)

 この局面なら、白Bc8がh3に辿り着く迄黒はRで暇潰しできる。そして、次の局面になってからは、こう進めればよい。

           (図2)

1.Pxb7 Pa6 2.b8=B Pb5 3.Ba7 Pb4 4.Be3 Pb3 5.Bf4 Pgxf4+

 以上から、白の2枚の成駒がいずれもBであり、それらがどこで取られたかも判明した。後はPc6xBd5と戻せば、右上の塊をほぐすのは容易である。残っている黒の駒取りはg筋のものなので、白Bc1がg5で取られたことはもはや明らかであろう。
 テーマは白B2枚のCeriani-Frolkin。いかにもこの作者らしい、見事な表現である。「黒Rをd8に入れると、c8で必ずしもBに成る必要がないのではないか?」と思われるかもしれないが、その場合はc8で白Pが成った瞬間に黒の指す手がなくなってしまうことを、最後に付け加えておこう。

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