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JOSIF KRICHELI傑作選(4)

(4) Josif Kricheli (Schach Echo 1975, 3rd Prize)

#13 (5+8)

(4)もまた、優れた作品だ。1.Rgg2? とするのは(スレットは2.Sg3#)単純に1...Qb8!で受かる。もう一つ、面白いトライとして1.Rc4? があるが(スレットは2.Rc1)、これも 1...Qa4! で逃れる。もし1...Rc7? としてくれれば、以下2.Rh4+ Kg1 3.Rg4+ Kh1(f1) 5.Rgg2! と進めると、b8とg3を結ぶラインが黒Rによって遮断された為に6.Sg3#で詰むのだが。もう少し良い受け方としては1...Rd1!?があるが、これは以下2.Rh4+ Kg1 3.Rg4+ Kf1/Kh1 4.Sg3+ Kg1 5.Se4+ Kh1! (5...Kf1?なら6.Rf2+ Ke1 7.Rg1#) 6.Sf2+ Kh2 7.Sxd1+ (白Sが対角線に関して対称移動した!) 7...Kh1(h3) 8.Sf2+ Kh2 9 .Sd3+! (限定移動。9.Se4+? だと白Rの邪魔になってしまう) 9...Kh1! (9...Kh3?だと10.Reg2!) 10.Rh4+! (10.Rc4? はQa7!で逃れ) 10...Kg1 と進み、再び11.Rc4! とする。以下11...Qa4 12.Rc1+ Qd1 Rxd1#と進んでメイトとなる。

 素晴らしい長手数の紛れだが、作意は少し異なったものである。1.Sg3+ Kg1 2.Se4+ Kh1! (2...Kf1 ?なら3.Rf2+) 3.Sf2+ Kh2 4.Sd3+ ! Kh1! (4...Kh3?なら5.Reg2) 5.Rh4+ (5.Rc4?だとQa7!で逃れ) 5...Kg1 6.Rc4! と進めると、白Sがd筋を塞いでいる為に6...Rd1とはできず、6...Qa4としても7.Rc1+以下簡単な詰みである。だがこの白Sはg3への利きを持たないので、6...Rc7という手はトライよりはマシな受けとなる。従って、白はSを元の位置に戻そうとする(スイッチバック)。7.Rg4+ Kh1 8.Sf2+ Kh2 9.Se4+ Kh1! 10.Sg3+ Kg1 11.Sh5+! Kh1(f1) と進んで、12.Rgg2! がとどめの1手。黒Rc7のせいで12.Qb8が受けにならない為、もはや13.Sg3#を防ぐ有効な手が黒にはない。

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