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JOSIF KRICHELI傑作選(9)

(11) Josif Kricheli (Championnat d’URSS 1969, 2nd Place)

Draw (6+5)

 J.KRICHELIはまた、多作なエンドゲーム作家でもあった。この分野での数多くの傑作の中から、(11)を引用したい。

 白の戦況は思わしくない:白Sa1は動けないし、黒Ph2も白Kに圧力をかけている。例えば1.e3?として白Sを解放しようとしても、1...Sd1! 2.exd4 Sf2+ 3.Kg2 h1=Q +!で負けである。
 キーは1.h7!だ。これには1...Be5とするが (もし1...Sd1なら2.h8=Q Sf2+ 3.Kg2 h1=Q+ 4.Qxh1 Sxh1 5.Kxh1でドロー)、2.e3! (2.h8=Q?により、すぐに黒Pを取りに行こうとするのは2...Bxh8 3.Kxh2 Sd1! [4.e3を避ける手] 4.b6+ [白Bを助けに行く手] 4...Kxb6 5 .Bd3 [5.Bc4?なら5...Kc5 6.Bg8 Kb4から7...Kc3 として白Sを取りに行く] 5...Se3として白Sがc2に逃げるのを防ぐが、白はまだKに望みをつなぐことができる:6.Kg1 Bf6 7.Kf2 Bg5 8.Ke1 Kc5![白Sがd4に来るのを予め防いでいる] 9.Kd2 [スレットは10.Sc2] 9...Sec2+ 10.Kc3 Sxa1 11.Kb2 Sb3 で黒勝ち) 2...Sf3! (3...Sd1から4...Sf2+というスレットがある。だがすぐに2...Sd1?とすると3.h8=Q Bxh8 4.exd4 から5.Kxh2 とされてドロー) 3.b6+ (白Bを働かせる手) 3...Kxb6 4.Be2 Sg1! と白Bに取りをかけるが、ここで5.Bf1! (5.Bg4 ? では5...Sd3 6.h8=Q Sf2+ (fork) 7.Kg2 Bxh8 8.Kxh2 Sxg4 9.Kxg1 Bxa1で白の負け) 5...Sd1 (もしh2の黒Pを守ろうとして5...Sf3 とすると、6 .Be2 Sg1 7.Bf1の反復によりドロー) 6.h8=Q! Bxh8 (6...Sf2+? は7.Kg2 Bxh8 8.Kxh2 Bxa1 9.Kxg1でドロー) 7.Kxh2 Sf3+ (黒は自分の駒を失わずに白駒は一枚取らなくてはならない) 8.Kg3 Sd2!(白Bに取りをかける)9.Be2! Be5+ 10.Kg2! (10.Kh4? のような手では10...Sxe3! のあと11...Bxa1! とされて白負け) 10...Sxe3+ 11.Kf2! Bd4 12.Ke1! (12.Bd3?は12...Sdc4+ 13.Kf2 Bxa1!で白負け) 12...Bc3 と進めれば、以下13.Kf2 Bd4 14.Ke1...という反復手順でドローに持ち込むことができる。

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