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G.Donatiプルーフゲーム傑作選(11)

(11)Gianni Donati (Thema Danicum 92 10/1998, Prize)

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           Proof Game in 19.0 moves (14+13)

1.d4 c6 2.d5 Qb6 3.d6 Qc7 4.xc7 d5 5.h3 Bg4 6.xg4 d4 7.Rh6 d3 8.Rf6 gxf6 9.b4 Bh6 10.b5 Bf4 11.b6 Bh2 12.Bh6 xb6 13.e3 Ra7 14.Qf3 d2+ 15.Ke2 d1=R 16.g3 Rd8 17.Bg2 Kd7 18.Bh1 Rf8 19.Bxf8 Ke8

 まず手数計算から始めよう。白はこの盤面配置を作るのに14手(Ph2xg3だとBh2が入れないのに注意!)、黒は7手かかる。また無くなった駒は白がRP、黒がQBPの3枚。白駒が取られた場所はb6とf6で、ここにはPとRを捨てるのが容易に想像できる。これに3手/2手かかるので、これで白の手は19手ちょうどになる。一方黒の方は、c7/b5にそれぞれQ/Bを捨てるのが一番自然であり、これからおおまかなストーリーは以下のようになるだろう。
(1)白のdPが直進、Qを取ってc7へ
(2)黒はPd5-Bg4としてh筋を開ける
(3)白はRh1をh6-f6と捨てる
(4)黒Bf8がh6-f4-h2と移動する
(5)白Bc1がh6に行き、その後Pe3-Qf3-Ke2と進む

 ここで黒のd筋のPについて考えてみよう。このPは消えてしまっているが、白の手を思い出せば、途中で取られている筈がない。つまりプロモーションしているのだ。白Ke2の配置から、R又はSに成ったことが分かり、後は上記のプラン通りに進めながらこの成駒が取られた場所を探し出せばよい。しばらく試行錯誤すれば、それがf8であることに気付くだろう。Bに成Rを取らせることでKもswitchbackするし、序の洒落た黒Qのtempo moveには思わず「巧い!」と膝を叩きたくなる。恐らくは、作者お気に入りの一作ではあるまいか。

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