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温故知新(詰パラ297号-02)

 今日は、左真樹氏の天竺煙を紹介しよう。天竺というルールは「王手されると、玉の利きは王手駒の利きになる」というものなので、玉は飛車で王手されたら飛車に、角で王手されたら角になる。こうしたルールの特性を活かして双方の玉を飛び回らせたのが、296号で紹介した左氏の作品だった。
 天竺のもう一つの特性として「玉は強い駒に強く、弱い駒に弱い」というのがある。つまり、歩・香・桂など弱い駒で王手をすると玉の動きもそれに応じて制限されてしまう。従って、盤面が幾ら広かろうと、このルールでは玉を制御するのには不自由しないのだ。
 左氏は恐らく、天竺というルールと煙詰という形式の相性の良さに最初に気付いたフェアリストなのだろう。氏が作る天竺煙はどれもみな、追い趣向を楽しんでいるうちにいつのまにか盤面の駒が消え去っているといった印象を受ける。これぞまさしくフェアリーの世界だ。

           左 真樹

天竺詰(詰パラ 昭和55年11月号)

 94角、同飛、71香成、同玉、82銀生、72玉、83歩成、同玉、93と、
 同飛、同銀成、同玉、85金、97銀成、94飛、73玉、84金、72玉、
 62角成、同玉、63歩、同玉、74金、62玉、
「52と、同玉、64桂、同と、53歩、同玉、64金、52玉」
「42と…42玉」
「32と…32玉」
 22と、同玉、13歩成、32玉、22と、同玉、34桂、同と、23歩、同玉、
 34金、22玉、12香成、同玉、23金、同玉、24歩、同金、同飛、同玉、
 25金、同玉、26金、同玉、27銀、37玉、38銀、46玉、47歩、同と、
 同銀、57玉、58歩、同金、同銀、66玉、67金、同と、同銀、77玉、
 78歩、同と、同銀、86玉、87歩、同成銀、同銀、同玉、 78銀、98玉、
 99龍、同玉、88銀、同玉、89香迄103手詰。


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